2014 Fiscal Year Research-status Report
地域・季節に配慮した健康照明環境の実設計に向けた提案
Project/Area Number |
26420589
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
望月 悦子 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80458629)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰元 宗人 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (30296157)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 睡眠 / 健康 / 調査 / 季節 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、睡眠リズムと睡眠感の地域・季節による違いを検証し、サーカディアン・リズムの観点から居住地域に応じた最適な照明条件を明らかにすることである。2014年度は、栃木県のD大学看護師寮にて、2014年11月に4週間に渡って調査を実施した。調査対象は、東面に窓を有する24室、西面に窓を有する22室に居住する46名(10代4名・20代39名・30代2名・50代1名、全員女性、学生24名・看護師22名)とした。寝室の照明は、電球色ダウンライトと昼白色シーリングライトの2条件であった。調査項目は、被験者の寝室の温度・湿度・照度、睡眠状態、睡眠に関するアンケートとした。睡眠状態の記録は、46名中7名が欠測、最大33日間、最低1日間のデータ回収状況であった。 結果、今回調査した被験者では、睡眠に関するアンケートに回答した42名中10名(学生23名中2名、看護師19名中8名)が睡眠に問題があり、かつ臨床的な意味でうつ状態と判断された。睡眠とうつ状態に問題のあるグループの睡眠時間は平均約293分、問題のないグループは約356分で、問題のあるグループの方が平均して63分ほど睡眠時間が短かった。睡眠効率については両グループとも平均して93%以上と高かった。寝つきまでの時間は、寝室の照明が電球色と昼白色とであまり差はなかった。電球色の寝室の机上面照度平均値(18-24時)は最大48 lx、昼白色の寝室は最大70 lx程度であった。一方、起床までの時間は、照明条件が同じものどうしで比べると、窓が東向きの寝室の被験者の方が短い傾向にあり、特に電球色の寝室で顕著だった。睡眠とうつ状態に問題のない被験者の寝室の方が、問題のある被験者の寝室よりも全体的に照度が高く、就寝前と起床後の曝露照度の差が大きい傾向が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
睡眠に関するモニタリング調査を全国展開するに当たって、比較的安価で精度良い機器の選定を行うことができた。2014年度は、予備調査として、一施設、一季節で寝室照明環境と睡眠実態に関して調査を行ったが、2015年度より本格的に調査を開始できる見込みである。 調査対象物件の選定は完了しており、各物件にて倫理審査の手続きも完了している。今後、複数物件にて年間を通して調査することで、地域・季節による睡眠状態の違いが明らかになると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度の予備調査にて確立した調査方法を用いて、年4回、獨協医科大学・看護師寮(栃木)、昭和大学・豊洲看護師寮(東京)、聖マリア学院大学・看護師寮(福岡)にて調査を実施する。調査時期は以下の通りである。 第1回調査: 2015年5月末~6月上旬 第2回調査: 2015年7月~8月 第3回調査: 2015年10月~11月 第4回調査: 2016年1月~2月
|
Causes of Carryover |
申請時には、睡眠状態の記録に使用する機器を6,000円/台×60台で見積もっていたが、複数種類の測定器をキャリブレーションし比較した結果、必要精度を十分に担保できるより安価な機器(4,600円/台×60台)が見つかったため。 また、2014年5月に予定していたCIEマレーシア中間大会への参加(旅費250,000円)を取りやめたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年に行った予備調査より、測定機器の準備や設定立ち合い、データ管理に予想以上の手間がかかることが判明したため、学生の出張旅費に研究費の一部を充当し、以下の概算にて使用予定である。 国内旅費300千円、消耗品費500千円、人件費・謝金800千円、その他(学会参加費等)100千円
|
Research Products
(2 results)