2015 Fiscal Year Research-status Report
地域・季節に配慮した健康照明環境の実設計に向けた提案
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26420589
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
望月 悦子 千葉工業大学, 工学部, 教授 (80458629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰元 宗人 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (30296157)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠 / 光環境 / シフトワーカー / モニタリング調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
サーカディアン・リズムの調整には一日の光曝露履歴が関係する。睡眠リズムと睡眠感の地域・季節による違いを検証し、サーカディアン・リズムの観点から居住地域に応じた最適な照明条件を明らかにすることを目的として、年間を通じた睡眠実態のモニタリング調査を行っている。2015年度は、栃木県と福岡県の2つの地域にて、女性の看護師ならびに学生を被験者として、四季を通じた睡眠実態のモニタリング調査を行った。2014年と2015年の調査を合わせて、夏・秋・冬の3季節の睡眠データ(寝室の温度・湿度・照度、睡眠時間と睡眠効率、寝つきまでの時間)、睡眠の質や生活の質に関する主観アンケートを収集することができた。看護師については、夜勤などで生活スケジュールが日々異なる被験者もいたため、現時点では、季節・地域による睡眠の有意な違いは明らかになっていない。しかし、生活スケジュールの安定している学生被験者の結果では、起床一時間前の積算曝露照度が低いほど、睡眠効率が高くなる傾向が見られた。 また、就寝前に曝露される寝室の照明環境について、低色温度化することで、睡眠効率、寝つきまでの時間の改善が図れるか、実地にて検証した。寝室照明の光色を昼白色から電球色に変更した結果、半数以上の被験者に睡眠効率の向上が確認された。 さらに、実験室実験では、夏(8月)と冬(12月)の2回に渡って、男子学生を被験者として日中の光曝露履歴が睡眠に与える影響をについて、生理量計測(心拍数、唾液中メラトニン濃度)も同時に行い検証した。結果、日中に常時一定の照明環境に曝露された場合は、季節による睡眠への影響は見られなかった。しかし、同一季節で結果を比較すると、曝露光量の総量が少なくても、常時一定よりも一日を通して照度・色温度を変化させた環境の方が、睡眠効率が向上する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、全国の睡眠実態の調査対象には、3施設を予定していたが、調査を実施できた物件は2施設にとどまっている。また、地域ごとに被調査者の居住環境を極力そろえるため、学生寮・看護師寮に居住する学生・看護師を対象として被験者を募集したが、片方の施設では、学生寮に居住している総人数が元々少なく、個人差を相殺するに十分なデータ数を得ることができなかった。 しかし、もう一方の施設では、研究分担者の辰元准教授の尽力により、全ての季節で一定数の被験者を確保することができた。また、2014年の調査開始からちょうど一年が経過したため、継続的に調査に参加している被験者を対象に、具体的に睡眠の質改善に向けた方策を提案・実施し、その効果をより具体的に検証、発展的に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度と2015年度に収集したデータについて、各人の属性、生活スケジュールなどより詳細に分析を進める。また、春の実態調査については、これまでにデータが得られていないため、追加でデータ収集を行う。
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Causes of Carryover |
全国の睡眠実態の調査に関して、3施設40名ずつ年間4季のデータを収集予定であったが、調査の負担から回を重ねるごとに被験者数が減少したこと、また、一施設を除き十分な被験者数を確保することができなかったため、謝金の支出が予定額よりも少なくなった。 一方で、当初は施設ごとに輪番で調査を行う予定であったが、調査時期による差異を極力減らすため、全被験者を同時期に調査することとし、被験者の人数分、測定器を購入したこと、また、遠隔でデータ収集状況を随時確認するため、データのWeb管理ツール契約をしたことから物品費が増額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、これまでに収集できなかったデータの補完ならびにより光環境の睡眠に対する影響をより詳細に把握するため、実験条件を統制した被験者実験を行うことで、モニタリング調査における被験者数の不足を補うこととする。
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Research Products
(5 results)