2015 Fiscal Year Research-status Report
民間都市開発の公的貢献による都市環境整備の方法論についての調査研究
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26420595
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
坂井 文 東京都市大学, その他部局等, 教授 (80401701)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市整備 / 英国 / S106 / コミュニティ・インフラ・ストラクチャー税 / 都市再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、現在英国で導入がすすめられている新たな民間都市開発による公的貢献の手法であるコミュニティ・インフラストラクチャー税について、状況把握しその展開と課題を明かにすることを目的とした。 英国の戦後から続く都市開発に伴う公的貢献制度は、社会情勢の変化や政権交代による変遷の経緯をへて、都市計画1991年法の106条によって導入された106条計画義務制度が現在まで運用されてきた。今後の都市整備の見通しや社会情勢から2000年後半には106条計画義務の見直しの議論が開始され、新たにコミュニティ・インフラストラクチャー税(以下CIL)の導入が2010年に開始された。106条計画義務制度とCILを同時運用するため、各自治体は運用手法を議論し近年その運用方法が順次発表されている。 本年度の研究においては具体的に、都市開発件数の最も多いロンドン市に着目し、各区の運用指針を文献調査によって収集した。その結果、運用指針を本年度においても作成中の行政が多数を占めていることが明らかとなった。つまり、当初目的としていたCILの状況把握の対象となる運用対象が、現在では少ない状況であることがわかった。そのため、現地ヒアリング調査を通して、従前の公的貢献の手法とCILの双方を含む公的貢献の手法全般について情報収集した。また、ロンドン市の都市開発に詳しいウエストミンスター大学のボウイ教授との議論を通して、従前の手法から新たなCILへの移行期としての現状の把握を行った。 後述するように、当該年度の中途に研究機関の変更があり、予定していた現地調査2回のうち1度の執行となった。現地ヒアリング調査の回数が半減したため調査は途中段階ではあるが、これまでの調査より、各自治体の106条計画義務制度とCILの適用基準と運用方針の策定における議論の傾向と状況を把握し、それぞれの今後の運用の見通しが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年9月30日に前職である北海道大学大学院工学研究院を退職し同年10月1日に現職である東京都市大学都市生活学部に着任した。離職と着任のため研究が中断し、27年度に予定していた2回の渡英調査の実施が1回となったため、27年度の進捗状況としては「やや遅れている」こととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コミュニティ・インフラストラクチャー税(CIL)の適用基準など具体的な進め方を事例を通して明らかにしながら、CILの導入にともないこれまでの106条計画義務とともに都市開発による公的貢献の考え方にどのような変化があるのか考察することを目的とする。都市開発にともなう公的貢献のあり方や課税の手法などについて知見を得ながら、都市開発の許可制度の異なるわが国においてどのような展開方法があるのか最終的に議論する。 具体的には、自治体ごとに指針として示されたCILの運用が始動し運用事例が増加することが見込まれることから、行政の判断基準や合意形成の手法を把握しながら、可能な限り追跡調査を行うための追加調査を行うことを予定している。ケーススタディーとしていたロンドン市を横断するクロスレイルの建設事業やロンドンBBC本社の再開発計画など、当該年度には事業の進展があまりみられなかったため、今後の現地ヒアリング調査において明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、平成27年9月30日付けで前職の北海道大学を退職し10月1日付けで東京都市大学に着任したため、職務の引継ぎ、職場及び居住地の引越し、新任地での新任務への対応などによって研究が一時中断されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に予定されていた2回の渡英調査のうち1回の調査が遂行されていないため、その分の渡英調査を平成28年度に行うために使用する。
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[Presentation] 新たな公園の管理運営2015
Author(s)
坂井 文
Organizer
日本公園緑地協会
Place of Presentation
国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)
Year and Date
2015-11-04 – 2015-11-04
Invited