2015 Fiscal Year Research-status Report
居住ニーズと住宅ストックのミスマッチの解消による循環型住宅市場の形成に関する研究
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26420609
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
趙 世晨 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (80304848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中古住宅 / 市場 / 地理的加重回帰モデル / 形成要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
住宅のストックが量的に充足し、環境問題や資源・エネルギー問題がますます深刻化する中で、これまでの「 住宅を作っては壊す」社会から、「いいものを作って、長く大切に使う」社会へ移行 し、住宅ストックの質を高めるとともに、適切に維持管理されたストックが市場を通じて循環利用される住環境の整備が求められている 。そこで、本研究は住宅性能・居住環境・住宅面積等の居 住水準に基づいた改良型地理的加重回帰モデルを用いて、居住ニーズと住宅ストックのミスマッチをもたらす要因を明らかにし、既存住宅の資産価値を適正に評価した上、居住ニーズに応じた 柔軟に選択できる住宅市場の形成につながる政策提言を行うことを目的としている。本年度(第2年度)は、地区別の価格形成要因と空間的分布状況の分析を行う予定で、主に以下の2つの項目を中心に研究を進めた。 Ⅱ-1改良型地理的加重回帰モデルの推定方法 地理的加重回帰モデルの要点は、重み行列の作成にカーネル関数利用することである。つまり、立地環境の影響に関する重み関数の設定は線形関数でも可能であるが、地域間の滑らかな影響変化を捉えるためにカーネル関数などを利用し、その妥当性を示した。 Ⅱ-2 住宅価格構成における地域的な要因分析 局所的な住宅価格形成要因の決定係数を推定し、それぞれの有意性の検定を行った。まず住宅属性(面積、築年数、設備(システムキッチン、床暖房など)等)の関数の有効性を検証し、次いで立地環境の影響分布を明らかにし、さらに、地区ごとの影響要因を分析し、立地要因と属性要因は、どのように価格に影響し、重視されているかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以上に示すように、本年度は研究計画の通り、主に推計モデルの改良及び要因分析を行い、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、既存住宅市場の選好傾向及び潜在的構造の分析を行うと同時に、研究成果を取りまとめ、学術論文として学会等に投稿し、公表する予定である。 Ⅲ-1 地区別潜在的な需要構造の分析 住宅に限らず、一般的に需要の高い地域は価格も高くなる傾向はあることに加えて、既存住宅は、地区のイメ ージや周辺住宅の価格に大きく影響されており、供給側と需要側とのミスマッチの発生は否めない。ここで、地理的加重回帰モデルの推計で得られたパラメータを元に、全変数を備えた物件が各地区に存在すると仮定し、各地区固有の値を挿入することによって、既存住宅の需要構造、選好傾向など、つまり地区ごとの潜在的な需要構造を明らかにする。 Ⅲ-2 既存住宅の循環市場の形成に関わる住宅政策の検討 現段階で想定できる展開としては、今後わが国の住宅政策について検討し、また既存住宅価格の評価基準を精査しながら、流通の促進を図る施策の検討を行う。
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Causes of Carryover |
経費使用の節約に努め、既存設備の再利用により、当初の計画に比べて使用額が少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度で、主に研究成果の発表に必要な投稿料や国際会議などの旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)