2015 Fiscal Year Research-status Report
自律性と多様性を保証する学童保育施設の生活空間計画研究
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26420610
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
清水 肇 琉球大学, 工学部, 教授 (40244280)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学童保育 / 子ども / 過ごし方の多様性 / 空間構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
学童保育施設における子どもの過ごし方の実態調査の成果として、コーナーのある一室型施設の屋内における過ごし方の分析の取りまとめを行うことができた。行為の内容の多様性、人との関わり方の多様性を見出し、空間構成との対応関係を整理することにより、空間の分離と連続に関わる計画上の検討課題を見出すことができた。以上の研究成果については、建築学会計画系論文集に採択され2016年4月号に掲載された。 さらに屋外空間の複数の領域を有する学童保育施設2箇所における過ごし方調査に着手した。屋外空間を大人数で動的に過ごせる広場型空間と、小さく区分された領域で少人数で過ごせる木陰型空間に区分し、それらの空間の使われ方について2015年度後半に二つの施設を対象とした調査を行った。10月~12月に調査を実施した一つの施設については、いっしょに過ごす集団の規模による過ごし方の差異の大きさを確認するとともに、屋外の各領域の空間特性との関係を整理を一定程度行うことができた。この成果については、2016年度の日本建築学会大会で発表を行う予定である。3月に調査を実施した二つ目の施設に関わる成果については、データの基本的整理を終えるまでに至っており、2016年度に分析を進める予定である。 以上の成果は、従来の学童保育施設に関わる建築計画学の成果に対して、個人の過ごし方の差異と多様性を念頭においた空間構成を求めるものであり、施設計画の理論に新たな視点を加えるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コーナーのある一室型の学童保育施設における詳細なケーススタディの結果、子どもの過ごし方と空間構成の関係を一定程度整理することができ、学術論文として投稿、採択されるにいたった。 その内容をもとにさらに多様な施設における過ごし方の観察調査に着手するための関係者との調整を行った。結果として二つの施設から調査実施に関わる承諾を得た。両施設ともに施設の改善あるいは新築移転という計画を有しており、研究成果を実践の場に反映するを前提として、継続的な調査と共同検討の場を構築することができている。平成27年度内に第一次調査を終え、一部を平成28年度の建築学会にて発表する予定である。 平成27年度に行った観察調査データは個々の子どもの過ごし方の詳細の記録であり、子ども達の成長に伴う過ごし方の変化を把握するための第一段階のデータと考えることができるため、継続研究の可能性を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学童保育施設における子どもの過ごし方の記録、分析方法を一定程度確立することができており、さらに多くのデータを得る目処も得られている。 子どもの過ごし方に学年・年齢による傾向が見られることが確認されたが、これについて継続的な事例調査を実施することで、経時、経年的に過ごし方をとらえる段階に入る予定である。 また、調査対象の二つの学童保育において空間の改善、あるいは新施設への移転の計画がある。その際の過ごし方の変化を分析することにより、空間的条件の改善に関わる計画論を検証することを予定している。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、子どもの過ごし方に関わる実態調査のために、臨時雇い上げによる調査員を確保する予定で、謝金の支出を予定していた。 実際の調査の進行過程で、調査対象の学童保育施設との継続的な信頼関係の上で詳細な記録を行うことが求められ、研究代表者自身が直接調査を実施することとなった。そのために臨時雇い上げによる調査員の採用を見送り、謝金の支出が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の調査の実績により、各施設における環境改善に伴う過ごし方の変化の実証実験という、当初の想定よりも高度な調査方法を検討することができる段階となった。そのため、次年度使用額は実証実験に必要な物品の費用の確保のために活用する予定である。
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Research Products
(3 results)