2016 Fiscal Year Research-status Report
傾斜地集落における地域資産としての環境価値の発見と再生
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26420629
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
本多 友常 摂南大学, 理工学部, 教授 (20304181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲地 秀介 摂南大学, 理工学部, 准教授 (50612313)
榊 愛 (石川愛) 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60581311)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域資産 / 文化的景観 / 実測調査 / 石垣 / ワークショップ / 棚田 |
Outline of Annual Research Achievements |
集落環境における景観資産としての現状把握を目的とし、実測によるデータ採取を実施した。特に旧古座街道に沿って見られる①棚田の石垣群、②地域環境構造の重要な景観構成要素となっている民家の屋敷構え、③旧大己小学校校舎などの実測記録採取を視野に入れつつ、傾斜地集落における景観構成要素の採取を行い、景観の特徴を生み出している主要因を把握した。 景観評価の価値基準は地域住民の認識に大きく依存すべきものであるが、一般的な会話を通じて、日常生活の背景となっている集落空間の特徴が意識されることは稀である。 そこで本研究では住民の生活環境に対する認識の傾向と、傾斜地利用の実態を把握し、その特徴について考察した。これは景観の特徴を裏書する景観構成要素の成立根拠として位置づけており、一般的に漠然と表現されがちな景観の特徴を、持続的新陳代謝のありかたに結びつける根拠となるものであると考えている。 これと平行して、旧大己小学校校舎を地域景観の固有性を持つ景観重要建造物として認識し、その価値を明らかにしていく作業を継続的に実施した。その結果増築と修理の履歴を追うことで、大己小学校の基壇部分の石垣及び、南側の職員室及び教室の骨格は明治36年建設当時オーセンティシティを残していることが示され、現在私たちが認識する擬洋風のイメージや廊下の室内への取込みは、昭和10年の大修理でほぼ現在となったことが明らかになった。 ここで保持されてきている集落景観の特徴は、背景としてのa)山々、生活環境の基盤となるb)民家と前庭、それを支えてきたc)石垣と、その下に広がるd)棚田の景観、それらを線として集落をつなぐf)里道とg)川筋といった、それぞれの環境構成要素の関係性、生活と生産の関係に深く結びついたものであり、小学校改修提案を核として周辺集落の維持管理手法の提案に結び付けていく論拠は確定されたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
旧大己小学校が実測調査、文献調査、インタヴュー調査により和歌山県で現存する最古の木造小学校として価値の高いことが明らかとなった。 そこで研究成果を学会発表にとどめることなく、地域住民、教育委員会、すさみ町への報告に向けたビデオ作成、製本報告書作成を準備しており、2017年度において研究成果を地元還元し、国登録有形文化財への申請の可能性を探るべく活動をし、これを含めて研究の総括とするよう延長承認申請を提出し、承認を頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
ビデオ公表、製本報告書作成を準備しており、2017年度において研究成果を地元還元し、国登録有形文化財への申請の可能性を探るべく活動をし、これを含めて研究の総括とするよう延長承認申請を提出し、承認をいただき、実行に移すべく作業を進めている。
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Causes of Carryover |
地域資産としての旧大己小学校に対する、文化財保護の観点から、映像保存としてのビデオ撮影の必要があると判断し、その撮影、編集について中西重裕氏ら撮影班との調整、打ち合わせ、現地インタビューに時間を費やすこととなった.またインタビューのなかにはMatthew Jarosz 教授(ウィスコンシン大学)の専門家による評価を受けるため、現地案内などを含め、内容充実を図った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
地域住民、教育委員会、すさみ町への報告に向けたビデオ撮影披露、説明会などを予定しており、冊子作成を行う。 また他事例との比較研究の事例収集については、10月末を目途に収束を予定し、2017年度において研究成果を地元還元し、国登録有形文化財への申請の可能性を探りたいと考えている。
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Research Products
(4 results)