2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420633
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
村田 明久 長崎総合科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40113253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 民俗学 / 文化的景観 / キリシタン集落 / 禁教令 / イエズス会 / 移住 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、主に島原、平戸(市街地)、五島(福江島)、大村で絵地図史料調査と現地調査を行い、16~18世紀の有馬藩、大村藩、五島藩、平戸藩でのキリシタン集落の把握可能性について探った。文献・現地調査における地域交流では、イエズス会施設の位置の推定について様々な仮説があったので、これまでの説についてまとめることにした。まず口之津地区において当時の教会位置について学会発表1編(投稿済)をまとめた。さらにキリシタン移住の本拠地であった外海の集落形成について学会発表2編をまとめた。後者は、これから移住先でのキリシタン集落形成を解明する基礎資料になる。 16~17世紀のイエズス会関連施設については、島原で、17世紀前期の島原半島絵図を見つけ、半島における同時代の各地区比較ができる段階とした。福江島の奥浦地区の聞き取り調査から、16世紀当時の教会位置の一つを推定することができた。大村では、16世紀前期の大村館図が見つかっていることから、市街地内での考察の基礎資料とする。平戸(市街地)では、17世紀前期の平戸図が見つかったので、考察の基礎資料とする。このように島原、平戸、大村において研究方法にかなう基本絵図を見つけて研究の見通しをつけたが、各藩の地域資料に疎密の差があるので、キリシタン集落として把握できるよう資料のまとめ方に工夫を入れて展開して行く。 またキリシタン移住地関連については、幕末期の深堀領絵図を見つけ、長崎周辺の善長、大山、外海地区について詳しい集落図を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、島原、平戸、大村の絵地図、現地調査を進めた。これらは研究対象地のほぼ半分に相当し、予定通りの進行である。これらの3地域とも16~17世紀の絵図が見つかっている。学会発表は3編で、島原の有馬領については各地区の関連をつけながら総合的に検討している。また、五島、高島等のキリシタンの移住地については、詳細な集落地図の検討が必要になるが、調査地長崎にいるので比較的史料を入手しやすい環境にあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)26年度の調査と同様に、残りの五島、天草、長崎周辺について絵地図史料調査と現地調査を進める。集落の絵地図史料の調査収集について継続して進める。詳細な集落絵図がある地区の画像データ処理により、現在の地形図と重ね合わせて集落変遷の分析を行う。 閲覧不可の史料もでてきたので、地区の史料や現地状況について総合的に判断できる方法を考える。26年度27年度史料の全般的な状況を見たうえで、分析のための画像データ処理を進める。 (2)今後の研究の推進方策として、場所の推定について確実性を高めるために、16~17世紀の西海地方の文献記述の中から景観・集落表現について整理を進める。そうした記述、絵図、現地環境が一致する研究手法をまとめ、イエズス会施設の位置、集落絵図について考察を進めて行く。
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Causes of Carryover |
画像データ処理関係の費用がシステムにより単年度分よりかさむ見込みがあること、および26年度27年度の現地・史料調査で各地の史料全般を把握してから機器の選定を行いたいこと、これらを勘案し、設備備品費等を27年度に繰り下げて実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の使用計画を、物品費170万、旅費10万、人件費・謝金5万、その他3万とした。
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Research Products
(2 results)