2015 Fiscal Year Research-status Report
アジア庭園基礎研究その2-韓国民家庭園における自然観の表現と空間形態に関する研究
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26420640
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三谷 徹 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (20285240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
章 俊華 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (40375613)
鈴木 弘樹 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 別墅庭園 / 別墅建築 / 立地 / 形態分析 / 扁額 / 視点場 / 心理量 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、現地調査と調査データの作成:庭園第3回調査(11月21日-26日):2014年度の第1回、第2回調査を受けて、韓国別墅庭園には、亭を主とする建築配置に立地的な共通傾向が見られ、また亭を核とした境界を明示しない庭園領域の規定に特徴があると研究グループは考え、その分析に必要な新たなデータ収集を第3回調査の目的とした。亭が小丘陵の上に独立する形式の別墅が多い湖南地方光州潭陽を対象地エリアとした。調査地は、俛仰亭、観水亭、松江亭、連渓亭、環碧堂、息影亭、聞一亭、酔歌亭、楓巌亭の9別墅であり、加えて近隣調査地として、竹林齋と延安金氏宗宅の住宅庭園も測量した。調査エリアを一地域に絞り込んだことで詳細な測量が可能となり、建築調査班は、コンベックスレーザー測定器を用いた建築内部空間の測量、庭園調査班は、トータルステーションを用いた三角測量、文学表象班は扁額に加え各別墅に残る詩文の全調査を行った。また、国立江陵原州大学のランドスケープ学科教員との意見交換会を持った。 2、建築形態に関する分析:詳細測量データを野帳に記録し、各別墅建築の平面図、断面図をCAD図として作成。また主軸方向の景観分析のための撮影画像データを整理した。 3、庭園形態に関する分析:詳細三角測量に基づく庭園地形図の作成、その地形的特徴を分析するための局所領域のGISデータ化と、国土地理院のGISデータとの連結による分析データの準備。 4、文学表象に関する分析:各別墅において撮影した扁額、対聯、詩文の撮影データからの文字表記の映し作業、データ整理。 5、成果発表に向けての調査報告書、論文等の作成:2015年度の環境情報科学センターでの発表に加え、2016年度での、同学会、日本建築学会、日本造園学会への発表等の準備。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査に基づくデータ作成と分析から、韓国別墅庭園に共通する特徴を以下のように認めつつあり、おおむね順調に進行、次への展開を生む成果が期待できる。 1、建築形態の特性に着目する研究:2014年度調査研究では、核となる亭の主軸の設定が立地に由来すること、主軸方向に特徴的な開口から特定の景を鑑賞することなどが把握されており、それを定量的に分析把握するための実地測量、データ化が2015年度に進んだ。このデータに基づき、これまでに詳細な調査図面のない別墅に関する建築図(平面図、断面図)が作成され、建築形式の特徴、また主軸開口からの景に関する分析が進んだ。これらを2016年度日本建築学会大会で発表する予定である。 2、庭園立地特性に着目する研究:2014年度調査で、別墅庭園では亭からの景観が特徴的な山容景観をもっていることを導きだし、その定量的照査のために、GIS分析と考察を行った。その結果、管理の不行き届き、都市化などで損なわれている本来の山容景観が明らかとなり、日本環境情報科学センターに発表した。一方庭園そのものの地割形態にも共通する特徴のあることが推測されていたので、第3回調査では三角測量に基づく庭園地割平面図を作成、これをGISデータにて定量分析を行い特徴のあることを認めた。これを2016年度において、日本建築学会などで報告する予定である。 3、文学的表象に着目する研究:2014年度調査で、湖南地方の別墅建築に掛けられている扁額と対聯、詩文の現況を把握したので、2015年度は庭園要素の分析と作者の内面世界に対する解釈分析を進めた。この分析から、韓国の先人が別墅庭園に付与した意味は、当時の時代的状況と関係付けられていることが認められ、湖南地方庭園文化の特徴として理解された。これを論文として2016年度韓国環境科学会に発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1、補完調査の必要性:2年度にまたがる調査、分析の結果、韓国別墅庭園に関しては歴史的価値が認められながら未調査のままの対象が複数存在すること、その空間形態、文学的表象に関するデータ化がなされていないことなどが認識され、本研究の中で可能な限り調査記録を作成することの重要性が認識されている。こうした基礎データの作成に加え、その空間形式の特性に関しても定量的な分析が可能であることが見えてきたので、更なる詳細調査を行い、分析の完成度を上げる必要性がある。 2、分析計画、研究成果のビジュアル化の検討:1)分析方法の確立。建築形態研究班は、別墅建築からの景観に関する心理量分析からその特徴を見いだすことに成功している。庭園形態の分析も局所的GISデータの作成と分析が、有効であることが認められた。また文学的表象班では、事物、情景を表すキーワードに関する統計的分析で成果を得ている。これらの分析方法の有効性が徐々に認められ、「アジア庭園基礎研究」の調査研究手法として総括的に位置づける考察も必要であると考えている。また、建築、庭園ともに一般図としての平面図、断面図とした資料づくりが重要な基礎作業として考えられる。 3、総合考察と成果のまとめ:「アジア庭園基礎研究」として、2011-2013年度に中国蘇州の私庭園を調査し、今回の2014-2016年度研究で韓国の私家庭園のひとつとして、調査記録、先行研究の少ない別墅庭園について研究を進めている。この2研究から、中華伝統庭園の囲堯形式が韓国においてどのように開放型の変化を遂げたかを考察することも必要である。また文学的表象においても、中華的文化背景と、韓国独自の儒教的背景の交錯が見られ、その比較考察も重要であると考える。そのような総合考察をおこなう研究者間の議論が予定されている。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の調査費用に充てる。
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Research Products
(1 results)