2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420643
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
宮内 貴久 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (10327231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三輪神道 / 建築儀礼 / 真言密教 / 高野山 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、全国各地で史料の所在調査を行った。 特に今年度の研究成果として、以下の四点の成果があった。 第一に茨城県立歴史館所蔵資料「番近大事十七通」の発見である。同史料に「天文十二年」という紀年名があり、管見では最古の史料である。従来の研究では中世末に遡るとされていたが、一次史料を明示した研究はない。この点で、「天文十二年」の紀年名を持つ同史料は極めて貴重である。、 第二に奈良県桜井市の山本工務店が三輪神道系大工儀礼書を所蔵し、かつ今日でも建築儀礼に使用している点である。三輪神道系大工儀礼書を儀礼で使用しているのは、奥会津以外では初めての事例である。このことから、かつては三輪神道系大工儀礼書が各地で使用されていたことが裏付けられた。また、山本氏所蔵の儀礼書の作成者が、大阪でも作成していたことが、『大神神社史料』から明らかになった。 第三に高野山大学所蔵文書から、三輪神道の秘伝を伝授する過程が明らかになった点である。日記史料から伝授するのにかかった期間、大工秘伝が伝授された日時、参考された書籍などが明らかとなった。 第四に竹中大工道具館所蔵史料に、三輪神道系大工儀礼書の版本が存在することが明らかになった点である。これまで版本は一点しか確認されておらず、またその版本とは別系統であることを確認した。写本ではなく版本が存在すると言う事は、それだけ需要があったことを物語っている。三輪神道系大工儀礼書の需要が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中世文書を発見できたことは大きな成果であった。また、奥会津地方以外でも三輪神道系大工儀礼書が建築儀礼で使用されていることが明らかになった点も大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、高野山大学史料の調査、ならびに竹中大具道具館と連携して大工儀礼書の所在調査を進めていきたい。
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