2014 Fiscal Year Research-status Report
日本人研究者の満洲調査史料の統合による北東アジア都市・建築史の構築
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26420654
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
奥冨 利幸 近畿大学, 建築学部, 教授 (70342467)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近代 / 満洲 / 東アジア / 伊東忠太 / 関野貞 / 村田治郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の調査では、戦前の日本人研究者が調査した満洲の歴史的建造物や城郭について、改めて現地調査で再精査を行い、リスト化を行った。これらの調査成果については、代表者の奥冨が「明治期日本建築界の中国調査及びその研究方法」を発表した。また、研究協力者の包が村田治郎の元の大都の都市計画に関する論考を再評価して、21世紀に出た新たな考古学の発掘資料を加えて、「元の大都の都市計画再考:皇城位置、鐘楼、鼓楼及び「フトン制」」を発表した。 一方、日本人の戦前の調査資料を統合し、北東アジアの都市と建築史を構築することを試みた。これについては、奥冨と包が、韓国の漢陽大学建築系東洋建築史研究室の建築史学者と研究交流会を開き、演劇建築及び高層の木造建築の建築類型の比較研究を行った。加えて、包が中国の天津大学と東京大学で開催された東アジア建築史通史の構築をテーマとする国際シンポジウムに参加し、「東アジアの視点から中国建築史研究を展望する」、「中国における建築の伝播と交流に関する研究の現状と課題」を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究における2つの目的である、戦前の日本人研究者が調査した満洲の歴史的建造物や城郭についての再精査と日本人の戦前の調査資料統合よる北東アジアの都市と建築史の構築について、調査と論文の発表が計画通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、瀋陽、遼陽、撫順と興京などの都城及び都城内の宗教施設を中心に研究対象とする。加えて、宗教建築の個々の事例を超えて、満洲の都城の空間構成体系を検証する。また、最新の研究成果を国際シンポジウムなどで発表すると共に、欧米圏の研究状況を把握しながら、当研究の国際的な位置付けを明らかにする。
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Causes of Carryover |
満洲の文献や古地図類の購入費がを予想よりも少なかった。また、調査資料の整理が捗り補助者への依頼がなく、謝金が計上されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における研究費の使用は、大きく文献資料の購入、調査旅費、資料整理等への謝金、研究成果発表費に分類できる。文献資料では、日本と中国の近代建築、満州の建築と都市、古地図類の購入に充てる。調査旅費では、中国での現地調査と日本における文献調査のための旅費に充てる。調査記録を図面化するなどの作業に対する謝金に充てる。また、研究成果発表費では、研究成果発表のため、論文の翻訳や投稿料、会議の参加費や旅費に充てる。
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