2014 Fiscal Year Research-status Report
被災都市の復興における建築技術者の活動とその果たした役割に関する史的研究
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26420656
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
李 明 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (30341233)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 復興 / 建築家 / 建築活動 / 復興建築 / 役割 / 活動類型 |
Outline of Annual Research Achievements |
復興事業と建築家の全体的把握と類型化を『戦災復興誌〈第1巻~第6巻〉』(建設省)、『広島被爆40年史/都市の復興』(広島市)、『広島県建築士会二十五年史』(広島県建築士会)や各種統計資料に加え、広島原爆資料館の各種資料、県や市が発行した復興建設関連の公文書から行った。 これまでの調査では、主に広島の文献所蔵先で行ったが、研究の枠組み設定の再検討に必要な既往研究と資料の整理を進めつつ、研究対象とする復興事業と建築家の活動に関する文献調査やヒアリング調査を行った。 調査によって、広島復興において活躍した杉田三郎建築事務所と白土建築設計事務所などに関する情報と資料を大量に入手した。 平成26年度の一次調査で得られた知見をまとめて、戦災復興事業と建築家・建築組織の種類と展開、そしてその果たした役割の全体について論文執筆し、日本建築学会中国支部研究報告会で「広島の復興における建築家・建築組織の活動形態/被災都市の復興における建築技術者の活動とその果たした役割に関する史的研究 その1」(中国支部研究発表会、2015年3月)発表した。 なお、調査に基いて「建築家杉田三郎の建築活動について」と「建築家柴田斉男の建築活動について」と題にして論文執筆を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①既存の関連研究蓄積から、広島の戦災復興に関わる研究と資料の所在をほぼ把握した。 ②個々の建築家・建築組織と戦災復興との関わり、復興事業または復興建築の計画、実施過程、利用状況の検討から、設計活動と復興事業との応答関係を比較考察できるほどの資料や文献が揃えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年には、『戦災復興誌〈第1巻~第6巻〉』(建設省)、『広島被爆40年史/都市の復興』(広島市)、『広島県建築士会二十五年史』(広島県建築士会)、『社史に見る戦災と復興/西部瓦斯株式会社史. [本編・資料編]』(西部瓦斯、1982)等広島の復興に関する各種統計資料、行政要覧の調査はほぼ終わっており、新聞の通覧調査は継続していくと考えられる。 また、官公庁実施の復興事業の総体を把握するために、官公庁営繕組織の編成についても研究を行う。復興局、営繕課といった独立部局の人員、予算、事業内容についても把握する。さらに、復興建設は外郭団体(建築協会等)を通して管理を行う場合もあったことから、外郭団体についても把握を行う。 さらに地方の新聞のみならず、中央の新聞にも目を配ることで、事例採集の最大化を図る。 官・民合わせた総枠の把握こそが、本研究で扱う個別建築家または建築組織の正確な把握と分析に重大な影響をもたらすため、文献調査やヒアリング調査は時間をかけてでも実施を継続する。
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Causes of Carryover |
交付決定から使用に至るまで2か月以上かかり、また前学期に担当講義が多いため充分な調査研究時間がなかった。後期に入ってから比較的に調査研究に集中し、多くの資料を収集したが、それを整理しながら再調査を進めるなど時間がかかったこと。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年目の第2次調査ということで、一定の方向性も決まっており、収集した資料に基づきながら、もっと本格的な調査研究と発表に取り組みたい。
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