2014 Fiscal Year Research-status Report
F.L.ライトの住宅作品の構成における「多様性生成システム」の研究
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26420658
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
水上 優 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (30441546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランク・ロイド・ライト / プレイリー・ハウス / ユーソニアン・ハウス / 住宅 / 生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度における本研究は、交付申請書に記載の通り、研究対象として主に「プレイリー・ハウス」、すなわちライトの「第1黄金時代」にあたる1910年代までの住宅作品群を採り上げて考察を進めた。 論者は既に「ヒコックス型」、「バートン型」、「ウィリッツ型」、「デイビッドソン型」、「ロビー型」、「ハーディ型」、「自邸型」の考察を試み、学会大会および支部研究発表会においてその梗概を発表しているが、これらの型による考察を踏まえプレイリー・ハウスの連続性と多様性を体系的に考察し、「プレイリー・ハウスの多様な型 フランク・ロイド・ライトの住宅作品における生成論的研究12」日本建築学会近畿支部研究報告集、第54号、pp.821-824、2014.6、および「プレイリー・ハウスにおける「6つの提言」について フランク・ロイド・ライトの住宅作品における生成論的研究13」日本建築学会大会(近畿)学術講演梗概集F─2、pp.577-578、2014.9として発表した。 また、日本建築学会建築歴史・意匠委員会近代建築史小委員会主催のシンポジウム「近代建築史研究の最先端」 第10回「近代(日本)× 近代(西洋) ― アメリカのモダニズム ライトからの展開」(11月29日、於京都工芸繊維大学)において「フランク・ロイド・ライトの建築と思想 ―「自然- 探究」と空間生成のプロセス」と題してライトの根本的な思索と制作とのかかわり合いについての発表を行うとともに、PD「アメリカのモダニズム ライトからの展開」にパネラーとして参加し討論を行った。他の参加パネラーの研究対象は、ライトの日本人弟子である建築家遠藤新、ライト事務所で働いた経験を持つ建築家ルドルフ・シンドラー、同様にライトと親交のあった建築家リチャード・ノイトラ等であり、アメリカ近代建築の特殊性、気候・風土性の観点から、有意義な意見交換がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における初年度となる本年度は、分析・考察のための基礎的資料の収集ならびに分類・整理を重点的に進めつつ、上述のプレイリー・ハウスの考察を行った。研究計画では渡米して現地視察を行う予定であったが、論者の所属研究機関変更等の事情により、次年度に実施することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画における2年目となる次年度においては、本年度に得られた諸資料の分析を重点的に進めつつ、交付申請書記載の通り、研究対象として主に「ユーソニアン・ハウス」、すなわちライトの「第2黄金時代」にあたる1930年代以降の住宅作品群を扱う。独自のダイアグラムによる分析を行いつつ、渡米し、プレイリー・ハウスおよびユーソニアン・ハウスの現地視察を行い、空間構成についての考察を進めたい。得られた知見を取りまとめ、研究論文や報告会への成果発表、ならびに関連分野の研究者との意見交換を積極的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画では渡米してプレイリー・ハウスの現地視察を行う予定であったが、論者の所属研究機関変更の事情により、次年度に実施することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
渡米し、プレイリー・ハウスを視察する。ユーソニアン・ハウスとの型的連関が指摘されるグラスナー邸(1905)を4月に、型的に特殊解であるクーンリー邸(1907)を5月に、それぞれ視察する予定である。
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Research Products
(3 results)