2014 Fiscal Year Research-status Report
微細構造制御ミスフィット型層状酸化物の熱電特性改善とSTEM構造解析
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26420666
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森村 隆夫 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30230147)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電変換材料 / 走査透過型電子顕微鏡 / 無次元性能指数 / ゼーベック係数 / HAADF-STEM像 |
Outline of Annual Research Achievements |
◎ミスフィット酸化物Ca3-xCo4-yMxM’yO9にM,M’としてSr,Tiを添加し試料を作製した。X線回折実験の結果、どの試料もミスフィット酸化物相が支配的であり、x,yが大きくなるとわずかに不純物相が生成した。Sr添加による熱電導度の低下と、Ti添加によるゼーベック係数の向上の2つの効果により、2元素同時添加で熱電特性は向上した。 ◎Co組成を調整したミスフィット酸化物CaCo4+xO9試料を作製した。X線回折実験の結果、どの試料もミスフィット酸化物相が支配的であり、xが大きくなるとわずかに不純物相が生成した。透過型電子顕微鏡観察の結果、xが増加するとミスフィット酸化物相には多くの面欠陥が観察された。熱電特性はxの増加とともに増加したが、不純物層が生成すると低下した。 ◎n=4構造をもつミスフィット酸化物Ca2Bi2Co2y試料を作製した。粉末X線回折実験により、試料はミスフィット酸化物相が支配的であることがわかった。粉末を単軸加圧成形後、焼結した試料に対するX線回折実験により、加圧方向と結晶c軸がそろった配向を示した。熱電特性の測定の結果、n=3構造に比べ、ゼーベック係数はかなり増加したが、電気抵抗が増加し、性能指数は低下した。 ◎Bloch波法によるSTEM像シミュレーションのプログラムを完成させ、ミスフィット型層状酸化物に対するHAADF STEM像を計算した。観察条件である対物レンズデフォーカスと電子銃サイズを実験像から決定できた。それらの結果を用いて、各サイトにおける不純物の量を定量的に決定することができた。 ◎Sr,Tiを添加したミスフィット酸化物の熱電特性とBloch波法によるSTEM像シミュレーションについては学会での発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
n=3構造、n=4構造をもつミスフィット酸化物の試料作製、熱電特性の測定に関しては、順調である。HAADF-STEMプログラムの作成とそのミスフィット酸化物の適用に関しても順調に進んでいる。HAADF-STEM像の観察は順調であるが、EDX-STEM、EELS-STEMの測定が進行途中である。来年度は、STEM測定にさらに力を入れていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
n=3構造をもつミスフィット酸化物の試料作製、熱電特性の測定に関してはかなり進んだが、n=4構造をもつ試料に関しては進行中である。今後はn=4構造に添加物を入れて研究を行う。 n=3、n=4構造をもつミスフィット酸化物のSTEM実験測定に力を入れ、原子配列、添加元素の占有位置、Co価数、電子状態等を明らかにしていく。さらにシミュレーションとの比較により定量的構造解析を行っていく。
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Research Products
(8 results)