2014 Fiscal Year Research-status Report
強誘電体化合物の電気熱量効果の固体冷却素子への応用
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26420684
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
眞岩 宏司 湘南工科大学, 工学部, 教授 (50229283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電気熱量効果 / 直接測定 / 強誘電体 / 非鉛セラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
電気熱量効果の評価は、断熱温度変化デルタTを求めることが必要であるが、温度変化は1K以下と微弱なことが多く、測定は一般に難しい。デルタTの評価は、①試料の分極の温度変化と印加電場より式を用いて計算したもの、②示差走査熱量測定装置を用いて電場変化時の試料の熱の出入りを測定したもの、③熱電対もしくは温度センサーを用いて電場変化時の試料の温度変化を直接測定したもの、に分けられる。このうち、性能評価には③が理想的であるが、熱の散逸、電気的な干渉により難しいことが多く、測定例は限られている 今年度は試行錯誤の結果、電気熱量効果による試料温度の変化を直接測定することに成功した。具体的には、0.1Hzの三角波を各種PZTセラミックスに加えた時の試料温度を測定した。電場印加歪曲線も合わせて測定した。電場印加により温度が変化し、温度は電場に対してバタフライ状の履歴を記していた。温度曲線(T-E曲線)とひずみ曲線(s-E曲線)が似た形状の曲線を与えていた。電気熱量効果は分極の変化に依るのでこのような温度変化は妥当であると考えられる。同様にBa(Zr0.2Ti0.8)O3BZTセラミックスとPMN-PT結晶についても測定した。非鉛であるBZTセラミックはPZT系に比べると温度変化が小さいことが分かる。 また、これらの温度変化は分極の温度変化から電磁熱力学を通じて予想される結果と良い一致を見せた。 これらの結果は国際会議での招待講演などで公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気熱量効果による温度変化の測定は今年度の目標であったのでこれについてはほぼ達成した。今後は履歴曲線と過渡的な測定の対応、材料と電気熱量効果の関連、冷却装置の試作へと研究を進展させる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 現状、鉛を含有する化合物で高い温度変化が示されているが、環境負荷を考えると、鉛含有材料で冷却器が作製されることは好ましくない。リラクサを中心とした非鉛材料の電気熱量効果の研究に重点を置く。 2. 強誘電体化合物では比熱や熱伝導率のような熱物性値が明らかでないものが多い。電場下や温度変化時の熱物性値のデータは、電気熱量効果の理解と冷却器の設計に不可欠である。それらの測定も行う。 3. 電気熱量効果を示す材料の絶縁耐圧の向上が冷却器の性能と信頼性の向上のために欠かせない。実際のところ、印加電場の大きさが温度変化を支配していると言っても過言ではないので、バルク材料を中心に絶縁耐圧の大きな材料を得るための研究を進める。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入を次年度に回した。予定していた成果公表を次年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入と成果公表に充てる。
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