2014 Fiscal Year Research-status Report
単一分散・球形微粒子を用いた(Y,Gd)2O3:Tb3+透明セラミックの新規作製
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26420686
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
李 継光 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (90354381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 球形微粒子 / 均一沈澱 / 塩基性炭酸塩 / 酸化物 / 蛍光特性 / エネルギー移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
希土類硝酸塩を母塩、尿素を沈殿剤とし、単一分散・球形特徴を有するY/Gd/TbおよびY/Tb/Eu系の塩基性炭酸塩微粒子の均一沈殿合成に成功した。希土類(RE)硝酸塩の濃度を0.015mol/L・反応温度を90度にし、粒径における尿素/REモール比の影響を調べた。そのモール比が20から100まで増えると微粒子の平均粒径は約160ナノから110ナノまで低減することが分かった。すはなち、粒径制御ができている。塩基性炭酸塩の熱分解分析および仮焼物の形状観察により、最適な仮焼温度は800-1000度であることが分かった。800度以下で塩基性炭酸塩前駆体の熱分解は不十分であり、1000度以上加熱すると微粒子の球形特徴はなくなる。得た均一な組成を有する酸化物球形微粒子の蛍光性能を分析し、最適な励起波長は275ナノ(Tb3+イオンの4f8→4f75d1遷移)であることが分かった。また、粒子が小さくなると表面欠陥の濃度が高くなるため、蛍光励起および蛍光強度は弱くなる。(Y0.95TbxEu0.05-x)2O3および(Y0.98-yTb0.02Euy)2O3の水系スラリを用い、球形微粒子の自己組織化による緻密な構造かつ高い透過率(可視光域:約80-83%)を有する蛍光体膜の作製に成功した。Tb3+からEu3+へのエネルギー移転を巧みに利用し、緑から赤まで様々な蛍光色を得られた。緻密組織化および球形形状の総合効果で膜の蛍光強度は粉体の約6.8倍であることが分かった。また、(Y0.98-yTb0.02Euy)2O3材料系においてのTb3+からEu3+へのエネルギー移転の効率はEu3+含有量の増加と共に増え、約52%まで達する(y=0.03)。今年度専門誌に論文4報掲載され、国際会議で口頭発表1件あった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単一分散・球形微粒子の研究順調に進展しているの上、水熱法および低温沈殿法を用いた新型層状水酸化物であるLn2(OH)5NO3.nH2O (Ln:希土類)のナノシートの無剥離一歩合成や層間陰イオン交換などの研究を行い、層状化合物の結晶構造、熱分解及び粉体性状などに及ぼす硫酸イオンやフッ素イオン交換の影響およびその機構を調べた。陰イオン交換で得たナノシートは分散性の高い、易焼結酸化物粉体の新たな前駆体であることも分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高温膨張計を用いた焼結速度論の研究; (2)焼結機構の解明および焼結過程分析; (3)透明セラミックの真空焼結作製およびセラミックスの微構造に及ぼす焼結温度、焼結時間、昇温速度などの影響; (4)焼結工程の最適化および単結晶ような透過率(70%以上)を有する透明焼結体の真空焼結; (5)透明セラミック焼結体の光物性分析(透過率、蛍光励起、蛍光、蛍光寿命) (6)セラミック焼結体の微構造分析(平均粒径、粒界など)
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Research Products
(5 results)