2014 Fiscal Year Research-status Report
共有結合型層状無機/有機複合体の層間での構造制御された光化学ナノ反応場の構築
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26420687
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
藤井 和子 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (90343871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋爪 秀夫 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70343861)
安藤 寿浩 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (80343846)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無機-有機複合体 / 光化学反応 / 固体ナノ二次元空間 / アルカノールアミン / 湿度応答 / 層状ケイ酸塩 / 有機誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、固体中のナノオーダーの二次元空間に、光化学反応基質(色素等)を共存させることにより、光誘起電子移動反応やエネルギー移動反応が起こる光化学ナノ反応場を構築し、さらに、光化学反応の高度制御を可能にすることである。このため、光化学反応基質間の距離や配向、割合等のナノオーダーでの構造制御にも挑む。 具体的には、層状ケイ酸塩等の層状無機化合物と光化学反応基質が共有結合した共有結合型層状無機化合物/光化学反応基質複合体(前駆複合体と呼ぶ)を構築し、前駆複合体の層表面の化学修飾により、第二の光化学反応基質(ゲスト基質と呼ぶ)を共有結合で強固に固定することで、異種の光化学反応基質が共存し、光化学反応が起こる光化学ナノ反応場を創製する。 平成26年度は、モデル前駆複合体を用いて、新しい手法による異種基質共存系の構築を試みた。モデル前駆複合体として、共有結合型層状ケイ酸塩/アルキルアンモニウム複合体を用い、モデル前駆複合体の層表面と各種化合物(ゲスト基質)との親和性や反応性を調べた。このモデル前駆複合体は、これまでの我々の研究で、比較的多くの知見が得られている。層表面には、アルキルアンモニウム基が共有結合で固定されており、さらに、シラノール基も存在する。 その結果、固体中のナノオーダーの二次元空間での様々なゲスト基質とアルキルアンモニウム基の共存が達成された。特筆すべきは、従来のインターカレーションなどの方法では共存が困難であると報告(Sitoke and Guy, 1985)されていたアルカノールアミンとのアルキルアンモニウム基の共存に成功したことである。本研究の手法が固体中のナノオーダーの二次元空間の利用範囲を広げる可能性が示された。 さらに、トリエタノールアミンとアルキルアンモニウム基をナノオーダーの二次元空間に共存させた系では、これまでに報告されていない非常に珍しい湿度応答特性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、モデル前駆複合体と各種ゲストとの親和性についての知見を得た。さらに、本課題で計画していたナノオーダーの二次元空間に異種基質を共存させる方法の優位性も示された。この方法は、当初計画時の予想よりも広い範囲で異種基質の共存が可能であることも示された。また、異種基質の共存により、各々の単独の基質の機能を単に混合した以外の機能が発現されることも示された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に、モデル前駆体を用いて得られた研究結果を基に、計画通り、異種基質共存系の光学特性の研究、新規前駆複合体の合成、と研究を進めていきたい。本課題の方法は、当初計画時に予想していたよりも広い範囲で異種基質の共存を達成できることが示されたので、平成27年度以降の研究も、当初計画より広い範囲で異種基質の構築を行いたい。また、機能についても広い範囲で評価するべきだと思われる。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究の結果、本課題の手法を用いると当初計画より広い範囲で異種基質の共存の可能性が示された。また、異種基質の共存が、各々単独の機能の単なる混合以外にも様々な機能を発現する可能性が示された。 このため、平成27年度は、当初計画より広い範囲の基質を対象に研究を行うべきである。また、機能評価も当初計画より広く行うべきである。 これら、当初計画より広い範囲で研究を行うため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
異種基質共存系構築のための試薬に36万円、合成器具類に30万円、評価用消耗品に30万円使用する計画である。
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Research Products
(7 results)