2014 Fiscal Year Research-status Report
水素エネルギー製造を指向した新規窒化物群の開拓と可視光応答化手法の創出
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26420689
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
末廣 隆之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主任研究員 (20421406)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 窒化物 / 光触媒 / 水素エネルギー / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、紫外光照射下における水の量論分解が報告されている窒化ゲルマニウム(Ge3N4)と同形の結晶構造を有する新規多元系Ge窒化物の合成を目標とした研究を行った。 第一段階としてNH3-CH4ガス還元窒化法によるGeO2からのGe3N4相の生成反応に関し、合成温度、反応時間等のプロセス条件の最適化を検討すると共に、速度解析による反応機構の考察、α/β多形の生成挙動および安定性等を明らかにすることにより、本合成法によるGe3N4基窒化物の合成に関する基礎的知見を得た。本検討から還元窒化反応の進行が、競合するα-/β-Ge3N4の核生成・成長機構により支配されることが示され、α-Ge3N4相は700-875℃の反応温度域において最終的にβ-Ge3N4に転移する準安定相であることが確認された。また生成したGe3N4の分解反応を抑制するプロセス温度域として875℃以下が適切であることが判明した。 本検討結果を踏まえ、イオン半径および化学的特性等の観点からGeサイトに置換する13族元素の検討ならびに適切な安定化元素の選択に基づく組成設計を試みた結果、組成式AxGe12-xBxN16(A: 安定化元素, B: 13族元素)で表される新規多元系Ge窒化物の単相試料を合成することに成功した。本結果は従来のSi系におけるα-SiAlONとのアナロジーがGe系において成立し、通常は準安定相であるα-Ge3N4型の結晶構造を有する固溶体の形成が可能となることを初めて示すものである。 合成された新規多元系Ge窒化物に関し、紫外光照射、犠牲試薬存在下における水の酸化還元反応について予備的評価を行った結果、水素および酸素生成に対する光触媒活性を有することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき、独自の合成手法を用いて新規な多元系ゲルマニウム窒化物を合成することに成功した。また当初の研究計画より早期に水分解光触媒活性の評価に着手することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き独自の物質探索指針に基づき、水素生成光触媒材料として有望な新規窒化物の合成に関する研究を推進する。特に現時点で達成されていない、開発材料の可視光応答化を最終的な目標とする。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な現有装置の改良および維持に係る費用が当初予定より軽微となったことにより、物品費に未使用額が生じた。また本年度は口頭発表による成果公表を行わなかったため、旅費に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光触媒特性の評価に当初の計画より早期に着手したことから、今後費用の発生が見込まれる光学系装置および関連消耗品類に本年度の未使用額を充当する予定である。
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