2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on SCC Initiation Mechanisms and condition mapping of High-Strength Low Alloy Steel in Boiler Water Environments
Project/Area Number |
26420704
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
礒本 良則 広島大学, 工学研究院, 准教授 (40127626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 応力腐食割れ / 低合金鋼 / ボイラー水環境 / SCC発生メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超々臨界圧ボイラーの水壁管や高温・高圧ボイラー水環境など,実際に用いられるボイラー水環境を再現し,環境的・腐食的に等速試験を行いながら,この環境で生じる高強度低合金鋼の腐食現象および応力腐食割れ機構の解明を行うものである. 研究の最終年度には,2年目の試験結果を受けて,ノッチ加工を施した試験片に三点曲げにより高い荷重をかけて割れを発生させた後に,再び三点曲げを行い負荷荷重を測定し,試験片を固定後,腐食試験を行う.腐食試験後に同一の方法で負荷荷重を測定し,SCCの発生によって緩和した荷重から荷重緩和比を求めた.また,ノッチ断面観察により,この荷重緩和比がSCCの発生状態をよく示すことを確認した. ボイラー水模擬環境としてpH 9,423 K,溶存酸素濃度(DO)が50 ppb前・後,さらにSTBA24および火STBA24J1の焼入処理の有無,焼戻処理の有無の条件を変えて腐食試験を行い,SCC発生・進展状況について調べた.その結果,2種類の破断強度は異なるものの,応力負荷比で整理すると,両者の間でSCC発生の感受性は同じとみなされた.また,試験液のpHによるSCC発生の影響はほとんど見られないことが分かった.一方, DOが高い場合では比較的低い応力負荷比でSCCが発生することが分かった.また,DOが高い場合の方が低い場合に比べて荷重緩和比は高く,SCC発生の感受性が高いことが分かった.SCC発生の感受性に対する材料組織の影響は溶存酸素濃度の大小によって傾向が異なった.DOが低い場合ではビッカース硬度Hvが400以上の硬い材料でSCC発生・進展の感受性が高く,水素脆性型のSCCが発生しやすいとみられる.一方,DOが高い場合ではビッカース硬さHvが300当たりに荷重緩和比が最大になる傾向を示し,この環境では活性経路型のSCCが発生しやすいと判断された.
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