2014 Fiscal Year Research-status Report
階層構造を有する有機無機複合多孔体の作製と機能制御
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26420708
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 亮治 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80292663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 文哉 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (00709488)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触媒 / 多孔体 / シリカ / 活性炭 / 触媒担体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、階層構造を有する有機無機複合多孔体の作製と機能制御と題し研究を進めている。初年度は以下の3課題について研究を進め成果を得た。 A. 階層二元細孔構造を有する新規有機-無機複合体のモルフォロジーと機能性の設計。二元細孔中でスチレンをアルカン溶液として導入しで重合させるという手法により多様なモルフォロジーの複合体が合成できる。26年度は、複合体のモルフォロジー制御の理論的背景を明らかにするために、二元細孔シリカに導入するスチレン濃度を変えたときの構造形成過程を精密に調査した。スチレン導入量と複合体に導入された量の量論を合わせる合成法を確立するとともに、量論がずれる要因を明らかにすることができた。これによりモルフォロジー形成についてシリカ表面-溶媒-スチレン重合体の相互作用によって進行するという仮説が正しいことの裏付けが得られた。 B. 複合体の炭化・アルカリ溶出による新規炭素多孔体の合成。複合体中の高分子の炭化とシリカ溶出により、シリカ骨格構造を鋳型とした階層細孔炭素多孔体の合成を行った。活性炭は炭素系多孔体の代表であり、担持金属触媒などでも広く用いられている。シリカのメソ細孔構造に依存して活性炭のメソ細孔構造の制御が可能であり、またシリカのマクロ細孔構造を変えたときもそれを反映した構造の活性炭の作製に成功した。 C. 階層構造の有意性を実証する触媒活性評価。1,4-ブタンジオールからのTHF 生成反応をモデル反応として触媒活性の検討を進めた。反応活性の反応温度依存性・触媒量依存性・触媒表面構造を変えたときの活性変化について詳細データを得た。また、平行して吸着塩基ガスの昇温脱離測定装置を製作しており、8割がた完成し一部の動作確認を終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無機成分を溶解した溶液中での相分離とゲル化によるマイクロメートルサイズのマクロ孔の形成を基盤として無機多孔体の合成を行い、細孔内での高分子の重合とモルフォロジー制御・機能化によって、複合体の構造・機能制御法の確立を目指す、とした当初目的について、細孔内重合条件と複合体の構造形成過程の対応を明確にできた。今後は表面機能化をすすめるが、この条件確立と形成過程に影響する要因を明らかにすることは当初困難を予想しており、以降の試料合成はルーチン的に進めることが可能である。また、固体触媒として展開する上でのモデル反応における階層構造の優位性の実証も、実験に必要な装置がほぼ完成し、今後データを取得できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
A. 階層二元細孔構造を有する新規有機-無機複合体のモルフォロジーと機能性の設計。26年度中にモルフォロジー制御の検討は予定通りおおよそ完了した。本年度は、有機化学系研究者と共同で多様な官能基の導入など、有機無機複合体の系統的な合成に取り組む予定であったが配属学生の人数の関係で、このテーマに時間をさける人材を確保できていない。27~28年度の2年計画で検討を進める。 B. 複合体の炭化・アルカリ溶出による新規炭素多孔体の合成。炭素多孔体のモルフォロジー制御に加え、成形体としての形成、活性炭特有の細孔構造の賦活条件検討による制御を行い、新しい炭素多孔体の合成を進める。また、金属担持等によって触媒を調製し、その活性評価を進める。 C. 階層構造の有意性を実証する触媒活性評価。階層細孔構造の有意性の実験的な実証は、予備的な検討における見かけの活性化エネルギーの差異だけでは不十分であり、拡散係数の見積り、理想的な条件での反応速度の見積り、拡散方程式にあてはめるための成形体としての反応検証を行ったうえでの検討が必要である。こうした検討を進めるとともに、実プロセスとして応用可能な反応系への適用を検討していく。 特に近年はバイオマス資源の化成品への転換に多くの注目が集まっている。実際に申請者もグリセリンの 転換反応など、ポリオールの脱水・脱水素反応の検討を行っている。こうした反応系への新規合成触媒の利用を進める。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Charge-Order Melting in Charge-Disproportionated Perovskite CeCu3Fe4O122014
Author(s)
Yamada, Ikuya; Etani, Hidenobu; Murakami, Makoto; Hayashi, Naoaki; Kawakami, Takateru; Mizumaki, Masaichiro; Ueda, Shigenori; Abe, Hideki; Liss, Klaus-Dieter; Studer, Andrew J.; Ozaki, Tomoatsu; Mori, Shigeo; Takahashi, Ryoji; Irifune, Tetsuo
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Journal Title
INORGANIC CHEMISTRY
Volume: 53
Pages: 11794-11801
DOI
Peer Reviewed
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