2014 Fiscal Year Research-status Report
自己の温度を自在に制御可能な固体型CO2吸収材の開発と最適化
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26420713
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大石 克嘉 中央大学, 理工学部, 教授 (20276695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 亮太 東京都市大学, 工学部, 講師 (30548136)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炭酸ガス吸収 / 非接触測定 / 放射温度計 / 酸化銅層 / 層状構造 / 通電加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
中心金属である純銅線(Cu)の電流(i)-時間(t)-発熱特性の調査及び純銅線の表面酸化による酸化銅層の形成を目指し,1)実際の通電実験と発熱体の温度計測を行った。その結果以下の結果を得た。 1)通電による金属銅線の発熱とその表面温度の測定の実際 まず数種の径をもつ純銅線について通電加熱実験を行った。電線メーカーの焼鈍(アニール)工程での通電加熱による銅線の赤熱を考慮し,0.28mmΦ,0.55mmΦ,0.90mmΦの3種類の直径をもつ銅線を,既存の定電流装置(高砂製作所製ZX-800LA)を用いて通電加熱し,発熱した銅線の表面温度を放射温度計(放射温度計: LEC製L-1000及び,センサーヘッド: LEC製SH-7C-60)で非接触測定した。実験は順調に推移し良質な測定データが得られた。その結果,電流値が大きくなると各銅線の表面温度は800℃を優に超える事がわかった。この温度は,CO2吸収物質であるLi2CuO2及びLi4SiO4がCO2と高効率で反応する温度領域(650~700℃)を超えており,さらに,一旦CO2を吸収したLi2CuO2やLi4SiO4が大気中でCO2を放出する温度である700℃も超える温度である。このため,通電加熱による表面温度電流依存性の結果は非常に良好な結果となった。 2)金属銅線上に酸化物(Cu2O,CuO)層を形成 当初,金属銅線上への金属酸化物層(Cu2OとCuO)層の作製は,i) 金属銅線を酸素雰囲気にした電気炉中で,780℃で3時間加熱することにより金属酸化物層を形成させた。しかしながら、研究が進行するに従い,大気中で純銅線を通電加熱するだけで,銅が大気中の酸素と反応する事で,酸化銅層が好みの厚さに容易に形成可能である事が明らかとなった。この結果は,酸化銅層の形成に電気炉が不要である事を示していて,実用に向けて良好な結果が得られた事になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成目標どおり,種々の径をもつ純銅線への通電加熱実験により,通電-電流値と表面温度の関係を明らかにした点及び,純銅線の表面上への酸化銅層の形成に成功したという点で,26年度の目標をおおむね達成したといえる。 この良好ととれる状況は,当初の研究計画がもともと現実的なものであった事と相関があると考えられる。また純銅線の表面酸化工程において,電気炉を使用せずとも,単に純銅線を通電過熱することにより好みの層厚の酸化銅層を形成可能である事を見出した点は、幸運であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で,純銅線の表面酸化については良好な結果を得ているものの,通電時間や温度の違いにより,銅の表面と酸化銅層間の結合力に違いが見られる事も確認された。この違いは,通電加熱のオンオフの切り替えを行う際に,通電する電流値を誤ると,金属と金属酸化物層間の劣化が発生する危惧がある事を示唆している考えられる。よって,純銅線における今後の課題は,通電加熱の際の印加電圧と通電電流値と層間の強度の最適化をめざす事であると考えられる。 これに対して,ケイ素線でも同様の実験を行っているが,純銅線とは異なり,ケイ素表面上に酸化ケイ素層を形成については多少の遅れ感がある。このため,今後は,本酸化工程について詳細に詰めていく必要がある。
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Causes of Carryover |
26年度に購入を予定していた,種々の濃度の不純物(ホウ素及びリン)を含み,種々の電気抵抗率をもつケイ素単結晶のウェファの納品が今年度中には間に合わなかったため,27年度の購入とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由欄に示される不純物が種々の濃度でドープされたケイ素単結晶ウェファーを購入し,所定の大きさにカットした後、それら表面の酸化(SiO2)及びCO2吸収材(Li4SiO4)層を生成させる。得られたCO2吸収材のCO2吸収特性を評価する。
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Research Products
(2 results)