2015 Fiscal Year Research-status Report
希土類の生体への影響:希土類の新規機能(抗菌)材料化に向けた生物学的アプローチ
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26420718
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
若林 篤光 岩手大学, 工学部, 助教 (30332498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 歩 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60523800)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 希土類 / 抗菌金属 / 抗カビ金属 / 鉄鋼スラグ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い本年度は、産業廃棄物の一種である、鉄鋼スラグ中の希土類金属元素の含量の測定を実施した。 岩手大学工学部マテリアル工学科の研究グループを介して、民間企業より希土類金属元素を含む合金の製造過程で生じる鉄鋼スラグ及び希土類元素を含まない合金の製造時に生じる鉄鋼スラグとを入手し、酸溶液により溶解した後にICP-発光分光分析(OES)法を用いて希土類金属とその他含量の高い金属、および毒性を有する金属等の含量を測定した。スラグ中からは検出可能な量のランタン(La)とセリウム(Ce)が確認されたがその他の希土類は検出できない量であった。またその含量は10グラム当たり5ミリグラム前後と決して多いとはいえない量であった。さらに、スラグ中には10グラム当たり3ミリグラム程度の銅(Cu)とわずかにではあるがヒ素(As)も含まれていたため、安全性の側面からは必ずしも有望な希土類のソースであるとは言い難い結果が得られた。近年の希土類金属に対する代替材料の研究の発展に伴い、希土類の中でもランタン(La)やセリウム(Ce)などの軽希土類については供給過剰の状況にある。したがって、今後はそのような余剰分の有効利用といった側面から有望な希土類のソースを探索していく必要がある。 また昨年度の研究内容を中心とする論文を執筆し、Biological Trace Element Research誌に投稿した。現在 Minor Rivision を求められ対応中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究実績にも述べたように、鉄鋼スラグ中には抗菌、抗カビ材料として使用できるような量の希土類金属元素は含まれていなかったため、次年度は計画を修正する必要が生じた。このため当初見込んでいた特許等の申請については見通しが立たない状態となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、代替材料の研究が発展した結果として希土類金属、特に軽希土類に関しては供給の余剰分が大量に存在している。次年度以降は、産業廃棄物ではなく、そのような過剰分の軽希土類の新たな使途として抗菌、抗カビ、あるいは抗線虫活性を役立てる方向の研究へと方針を改めることを検討する。現在の余剰状態の掌握のための情報収集を行い、余剰な希土類について研究を進める。
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Causes of Carryover |
物品購入の端数が生じた。不要不急のものは購入せず、次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
通常の物品費として使用する。
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