2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420731
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
森 嘉久 岡山理科大学, 理学部, 教授 (00258211)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電材料 / 高圧合成 / シリサイド半導体 / 環境半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年次は,ピストンシリンダー装置を用いてMg2Si熱電材料の高圧合成するための合成条件を調べることを中心に研究を遂行した.これまでの研究で最適な合成条件も明らかにしてきたが,その合成温度がMg融点以下の低温領域での固相反応であるため,残留する未反応物やその酸化物が大きな課題となった.そこで粉砕・焼結を複数回繰り返す合成をすることで,未反応物を大幅に減らすことが可能となった.得られた合成物の熱電性能測定においても,これまで以上に安定した結果を示しており,高圧合成法としてはある程度確立してきた. 未反応物は大幅に減少し熱電材料としては進展が見られたが,反応速度の問題や複数回の焼結の手間などを考慮すると実用化の観点からは課題も多い.固相反応の反応速度を向上させるには出発原料の粉末粒径を細かくすることが重要であるが,マグネシウムの微粉末を作るのは困難である.そこで空気中で安定な水素化マグネシウム(MgH2)を出発原料として合成することを試みた.MgH2粉末は高温で水素を放出するため還元雰囲気での合成や未反応物の酸化防止などの効果が期待できる.しかしマグネシウムの場合と異なりMg2Siが合成される温度が高いため,その合成条件を決めるためには高温高圧X線構造回折実験を実施しなければならないが、マシンタイムの関係で詳細な放射光実験は次年度に持ち越すことになった. そこで,当初二年目に計画していたホットプレス装置による実用化への試みの研究テーマを前倒しで実施した.ピストンシリンダー装置での合成条件と比較すると圧力条件が1桁ほど小さくなるので,その影響を詳細に調べた.合成した試料の熱電性能測定を実施すると,大半の合成物には多くの未反応物が含まれていたが,一部の合成物においては熱起電力が発生した. 引き続き,ホットプレスでの最適な合成条件を求めて実用化に向けた研究を遂行する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成条件はある程度計画通り調べられたが,低温領域での固相反応によって合成する場合、試料の完全合成が課題であり,残留する未反応物とその酸化物が最後まで影響を及ぼしている. そこで還元雰囲気での合成を目指して水素化マグネシウムを用いた合成をした結果,効果を得ることが出来た. 研究室での測定環境は既存の装置を利用して整備されているが,研究計画通りに測定系の装置を準備することで,測定効率の向上に努めている.環境整備には取り組んでいるが,完成にはもう一年必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,MgH2粉末を用いて高圧合成をする場合の合成条件を高圧X線回折実験を通じて早急に調べ、その結果をもとにピストンシリンダー装置やホットプレスでの高圧合成を実施していく. MgH2は空気中でも安定な物質であるので,様々な粉末粒径を有した粉末を準備し,その粒径が合成速度や合成物の熱電性能に与える影響を調べていく必要がある. 基本データはピストンシリンダー装置を用いて合成された試料で調べていくが,マシンタイムの制約があるため,予備実験はホットプレスで合成した試料で実施して研究効率を高めていく.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、初年度に熱電性能測定の効率を向上させるために、電気炉と制御系のDMMやPCを購入して測定環境を構築する予定であったが,未反応物を少なくするための解決策としてMgH2粉末を使用する研究が進行した.放射光施設のマシンタイムの制約があるため本学での研究としては二年目に計画していたホットプレスによる合成と実用化の可能性を検証するための実験を行った. 以上の研究計画の入れ替えが起きたため購入物品が計画と異なったため50万円弱の繰越金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の順序を一部変更しただけであって,先送りした測定システムの構築は二年目に実施する予定であり,すでにDMM等は購入済みである. 使用計画としては,初年次に購入予定であったものを二年目購入するだけであって、使用計画を変更する必要はない.
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Research Products
(4 results)