2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420735
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松原 浩 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00202325)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硬質めっき膜 / ニッケルめっき / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
多結晶材料の強度は結晶粒径が微細化すると増加し、数nm~十数nmの領域で最も高強度の材料が得られる。一部のアミノ酸においてはめっき浴中に添加するとめっき膜中に取り込まれる複合共析現象がみられ、化合物をめっき膜内に複合化した金属薄膜が作製できる。従来の合金めっきとは異なり、複合化成分は結晶粒内より粒界に偏在する傾向があるため、これにより効果的に結晶粒径を微細化できる。本研究は、このような複合共析の機構を 解明し、この現象を利用して作成しためっき膜の硬さを作製条件と比較検討し、「合金めっき」とは異なる新たなアプローチで硬質めっき膜の作製法としての可能性を確立する事を目的として検討を行った。 前年度に確立した試料作製条件および測定条件を用いて、各種アミノ酸をめっき浴に添加してめっき膜の作製を行ったところ、アルギニンを用いた場合に効果的にアミノ酸由来の元素が共析できる事がわかった。アルギニンをめっき浴に添加することにより、添加量10mMにおいて1~1.5at%の炭素がめっき膜中に共析する。昇温脱離分析装置(TDS)によりめっき膜を真空中で昇温し、めっき膜から放出されるガス成分を質量分析により定量したところ、アルギニンは分子状態ではなく分解してめっき膜中へ共析したものと考えられた。 さらにアルギニンの分子構造を主鎖および側鎖にわけて考え、それらと類似の分子構造を有するグリシン、グアニジンを用いて共析挙動を精査したところ、アルギニンの炭素共析においては、主鎖および側鎖の両方を有する事が必要条件であることがわかった。以上より分子の複合共析においてはアミノ酸分子内の複数箇所がブリッジ構造を形成して吸着する共析機構が提案された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ酸の効果的な共析条件が明らかとなり、めっき浴中に添加したアミノ酸は表面にブリッジ構造を形成して吸着し、分解して共析することが解明できたことから、期待した成果が着実に得られたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り今後も研究を推進する予定である。
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