2015 Fiscal Year Research-status Report
マグネシウム合金の非対称繰返し曲げ加工による高機能化
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26420746
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
柳田 明 東京電機大学, 工学部, 教授 (20432065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 繰返し曲げ加工 / マグネシウム合金 / 易成形性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロールピッチは40mmで上ロール3本で下ロールが4本のロール曲げ装置を用いて繰返し曲げ加工を行う.対称曲げではロール径をφ32、非対称曲げでは、下ロールをφ32,上ロールをφ28とした.供試材にはマグネシウム合金AZ31の板厚1.0mmの圧延材を使用した.ロールの押し込み量を調節し,1パスあたりそれぞれ,0.047の塑性ひずみが表層に導入されるようにした.1パスあたりのひずみはロールによる2回の曲げ曲げ戻しサイクルの累積ひずみである.加工前に400℃で1時間焼鈍し,加工後の焼鈍(400℃で1時間,180℃で1時間、160℃で1時間)の有無の影響を調査した. 対称曲げでは、焼鈍しが無い場合は加工パス数の増加に伴い硬さはHv60からHv73程度まで上昇するが,成形性の指標であるエリクセン値3.05から2.96に低下した.焼鈍材では硬さは加工前と比べると400℃、180℃、160℃でそれぞれ、Hv55,Hv45,Hv67となりエリクセン値はそれぞれ,3.4,3.56, 3.2となった.180℃と160℃では大きな違いが見られたがこの20℃の間に再結晶温度が存在するからである. 非対称曲げでは、加工により、Hv73まで上昇し,エリクセン値は3.20に上昇した.硬さは対称曲げとほぼ同等であったがエリクセン値はわずかに上昇する結果となった.焼鈍材では硬さは加工前と比べると400℃, 180℃, 160℃でそれぞれ,Hv49,Hv42,Hv60となりエリクセン値はそれぞれ、3.9,3.57, 3.4となった.これらのことより,硬さと成形性のバランスから非対称曲げの効果が確認された.幾何学的に求められるひずみが等しい条件で曲げ加工を行ったが,非対称曲げではせん断ひずみが大きくなる.この影響を有限要素法によっても解析したが,明確なひずみ分布の違いを得ることが出来なかった.解析に求める応力ひずみ曲線に圧縮―引張の非対称性を導入し解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進んでおり,異径ロールによる上下非対称曲げと焼鈍しにより対称な時よりも成形性が向上する結果が得られている.有限要素解析を実施し,ひずみ分布を検証したが,解析されたひずみ分布の差よりも大きな変化が実験では現れており,そのメカニズムに関しての検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素解析の応力-ひずみ関係に圧縮-引張の非対称性を導入する.また,成形評価法として温間V曲げ加工を行う.
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Causes of Carryover |
外注予定の組織観察を実施できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
組織観察を実施する.神戸大学で開催されるM&M2016(10月8~10日)で発表予定であり,発表者の修士2年の平井友麻と代表者の柳田の旅費が発生する.備品(消耗品)として摩擦を大きくするために表面を凹凸を設けたロールを新規に製作する.
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