2015 Fiscal Year Research-status Report
強ひずみ加工と高圧時効処理による転位フリー超微細結晶材の創製
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26420748
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超微細結晶材料 / 結晶粒界 / 粒界腐食 / 応力腐食割れ / 強ひずみ加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強ひずみ加工の一つであるECAP法により作製した超微細結晶組織を有する純銅、銀を1GPの高製水圧の下で熱処理を行い、転位密度への影響および対応粒界などの粒界性格分布に及ぼす静水圧の影響解明を目的としている。二つの金属を選択した理由は積層欠陥エネルギーの違いが粒成長過程において、双晶などのフリー体積の分布に及ぼす影響を明らかにするためである。本実験では、ECAPにより8パスまで加工した試験片に大気圧下と静水圧下で熱処理を行った。電子顕微鏡およびEBSDにより結晶粒径が1ミクロン以下に減少したことを確認した。この試験片を結晶方位分布測定により解析を行った。その結果、大気圧下と静水圧下を比較するとランダム粒界の割合の減少を確認できたとともに、対応粒界の割合が高まることがわかった。また対応粒界の中でΣ3粒界が最も増加した。Σ3粒界の割合の増加の要因は、整合粒界であるΣ3双晶粒界の割合が増加したためである。この双晶の形成は粒界の分解によるものだと考えられる。なお、純銅と積層欠陥エネルギーが低い銀において差が観察されず、積層欠陥エネルギーの違いが双晶の数に及ぼす影響は確認できなかった。これらの結果から強ひずみ加工後に静水圧熱処理することにより諸性質に優れた対応粒界を有する材料を作製することができた。 しかし、その効果は限定的であり、原因として粒界偏析の影響が考えられる。すなわち粒界偏析によりフリー体積が減少し、静水圧の効果が得られなかった可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想した静水圧の効果は限定的であるものの確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
静水圧の効果が限定的である原因として、純度が不十分であり粒界偏析により自由体積が減少している可能性がある。これにより静水圧による効果が限定的であったことが考えられる。今後は純度を系統的に変化させて研究を進めていく。
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