2014 Fiscal Year Research-status Report
持続型固-液共存状態を利用したパルス通電焼結による金属系放熱材料の開発
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26420751
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
水内 潔 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 加工技術研究部, 研究主幹 (60416344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井藤 幹夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294033)
上利 泰幸 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 企画部, 研究フェロー (70416288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 材料加工・組織制御工学 / 粉末プロセス・粉末冶金 / 放熱材料 / パルス通電 |
Outline of Annual Research Achievements |
Al/cBN系については、以下のことを明らかにした.(1) cBN粉末,純Al粉末,及び,Al-5 mass%Si粉末の混合粉末は,SPSにより加圧力80~300 MPa,昇温速度1.08 K/s,保持過程での加熱速度0.05 K/s,焼結温度798~876 K,保持時間1.56ksの条件で緻密化できる. (2)80 MPaから300 MPaへの,SPS成形中の加圧力の増大が,複合材料の相対密度と熱伝導率の上昇に及ぼす効果は,cBN含有量が多いほど顕著であった.(3)加圧力300 MPa条件で成形した場合,Al/cBN複合材料は,cBN粒子体積分率35~45 vol%の範囲において,ほぼ100 %の相対密度を示した. (4) Al/cBN複合材料の熱伝導率は,cBN粒子体積分率35~45 vol%の範囲では,粒子体積分率の増加とともに増大し,加圧力300 MPaで成形したAl-45 vol%cBN複合材料において,最高の熱伝導率305 W/mKが得られた.(5) Al/cBN複合材料の熱膨張係数の実測値はKernerモデルの理論式のUpper lineをやや上回り,Al/cBN界面の密着性には改善の余地があることが示唆された.Cu/ダイヤモンド系については、以下のことを明らかにした.(1) ダイヤモンド粉末,Cu粉末,及び,B粉末の混合粉末は,SPSにより加圧力80 MPa,昇温速度1.67 K/s,焼結温度1173 K,保持時間600 sの条件で緻密化できる. (2) Bを含有しないCu-50 vol%ダイヤモンド複合材料の相対密度は89.7 %であった.Bを添加すると複合材料の相対密度はやや増加し,B添加量1.8~13.8 vol%の範囲で,93.2~95.8 vol%の相対密度が得られる.(3) SEM観察及びX線回折結果からは,Cu/ダイヤモンド界面反応層の存在は確認できなかった.(4)B添加によりCu/ダイヤモンド複合材料の熱伝導率の向上が認められ,(Cu-1.8~13.8 vol%B)-50 vol%ダイヤモンド複合材料に対して,594~689 W/mKの熱伝導率が得られた.(5)曲げ試験の結果,Cu/ダイヤモンド複合材料の界面密着性がB添加により改善されることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者及び分担者の長期病欠もなく、使用機器の故障もなく研究は予定通り進行しており、以下の成果が得られている。 Al/cBN系については、 cBN粉末,純Al粉末,及び,Al-5 mass%Si粉末の混合粉末は,SPSにより加圧力80~300 MPa,昇温速度1.08 K/s,保持過程での加熱速度0.05 K/s,焼結温度798~876 K,保持時間1.56ksの条件で緻密化できた. 80 MPaから300 MPaへの,SPS成形中の加圧力の増大が,複合材料の相対密度と熱伝導率の上昇に及ぼす効果は,cBN含有量が多いほど顕著であった.加圧力300 MPa条件で成形した場合,Al/cBN複合材料は,cBN粒子体積分率35~45 vol%の範囲において,ほぼ100 %の相対密度を示した. Al/cBN複合材料の熱伝導率は,cBN粒子体積分率35~45 vol%の範囲では,粒子体積分率の増加とともに増大し,加圧力300 MPaで成形したAl-45 vol%cBN複合材料において,最高の熱伝導率305 W/mKが得られた. Al/cBN複合材料の熱膨張係数の実測値はKernerモデルの理論式のUpper lineをやや上回り,Al/cBN界面の密着性には改善の余地があることが示唆された.Cu/ダイヤモンド系については、 ダイヤモンド粉末,Cu粉末,及び,B粉末の混合粉末は,SPSにより加圧力80 MPa,昇温速度1.67 K/s,焼結温度1173 K,保持時間600 sの条件で緻密化できた. Bを含有しないCu-50 vol%ダイヤモンド複合材料の相対密度は89.7 %であった.Bを添加すると複合材料の相対密度はやや増加し,B添加量1.8~13.8 vol%の範囲で,93.2~95.8 vol%の相対密度が得られる.SEM観察及びX線回折結果からは,Cu/ダイヤモンド界面反応層の存在は確認できなかった.B添加によりCu/ダイヤモンド複合材料の熱伝導率の向上が認められ,(Cu-1.8~13.8 vol%B)-50 vol%ダイヤモンド複合材料に対して,594~689 W/mKの熱伝導率が得られた.曲げ試験の結果,Cu/ダイヤモンド複合材料の界面密着性がB添加により改善されることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降においては以下を遂行する。 ①金属/CBN 系複合材料のさらなる低熱膨張化と金属/CBN界面構造の解明:①-1 Al/CBN 系 :マトリックス粉末としては、純Al 粉末とAl-Si 合金粉末の2 種類を用いる、充填材としては大小2 種類のCBN 粉末を用い、充填粒子にバイモーダルな粒度分布を与える。CBN の充填率を70vol.%まで高め、高熱伝導率を維持しつつさらなる低熱膨張化を図る。①-2 Ag/CBN 系及び①-3 Cu/CBN 系:複合化方法としては、平成26 年度同様にSPS 成形法を用い、充填粒子であるCBN 粉末の粒度分布のバイモーダル化により、CBN の充填率を70vol.%まで高め、高熱伝導率を維持しつつさらなる低熱膨張化を図る。②Cu/ダイヤモンド系複合材料のさらなる低熱膨張化とCu/ダイヤモンド界面構造の解明:平成26 年度に得られた(Cu+第3 元素)/ダイヤモンド複合材料のCu/ダイヤモンドに生成する界面反応層のTEM による同定を行い、Cu/ダイヤモンド界面における熱伝達機構を解明する。③高熱伝導性金属基複合材料の低熱膨張化と金属/充填粒/界面構造の解明:これまで、モノモーダルな粒度分布を持つ充填粒子の使用により既に高熱伝導率が得られている、Al/ダイヤモンド系、Al/SiC 系、及び、Ag/ダイヤモンド系複合材料において、バイモーダルな粒度分布を有する充填粒子を用い、充填粒子含有率を70%まで増加させ、さらなる熱膨張係数の低減を図る。また、TEM 観察により、充填粒子/マトリックス界面の構造を解明する。
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Causes of Carryover |
3月納入予定の消耗品が4月以降となったため、その分の実験開始が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品は4月上旬に搬入されたため、既に実験を開始している。
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Research Products
(20 results)