2014 Fiscal Year Research-status Report
ホスト-ゲスト相互作用による光学分割システムの開発
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26420768
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鬼束 聡明 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60403937)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光学分割 / ホスト-ゲスト化学 / マイクロフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,光学分割輸送剤となるキラルホスト分子の開発と効率的な分離・輸送システムの開発を行った。 まず,キラルホスト分子として,光学活性な1,1-ビナフトールの3,3’位にアントリル基,および,アントリルエチニル基を導入した化合物を合成し,水酸基をリン酸エステル化した化合物を合成した。このとき,既知の反応を改良・短縮化することにより,収率を向上させることが出来た。 これらの化合物を用い,第一段階として,アミノ酸の光学分割を行った。アミノ酸を含む水相と光学分割輸送剤を含む有機相で光学分割を行った結果,中程度から良好なエナンチオ選択性で,水相からアミノ酸を光学分割することが出来た。このとき,有機相の有機溶媒の選択が,エナンチオ選択性に大きな影響を与えることを見出した。また,光学分割輸送剤においても,より深いクレフト構造を持つアントリルエチニル基を導入した化合物の方が良い結果を与えた。アミノ酸については,より脂溶性の高い,アルキル,もしくは,アリール残基を持つアミノ酸の方がより高い選択性を示した。 次に,第二段階として,光学分割輸送剤を含む有機溶媒を液膜とし,U字管様の反応容器を用い,供給相にアミノ酸を含む水溶液を,受容相に過塩素酸水溶液を用い光学分割輸送を試みた。エナンチオ選択性は低かったものの,エナンチオ選択的光学分割輸送が行われていることを見出した。このとき,受容相の酸性度が輸送速度に大きな影響を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想通り,今回用いたキラルリン酸誘導体が光学分割輸送剤として作用することが見出された。また,この光学分割輸送剤の溶液は,光学分割輸送の液膜として用いることが可能であることも見出した。従って,本来の目的であるマイクロフロー系への展開が可能であると考えられ,準備段階から次の展開へと進むことが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,効率的な分離・輸送システムの開発として,本年度で明らかになった知見を基に,マイクロフロー系への展開を行う。それと同時に,より高性能な光学分割輸送剤を探索するため,キラルリン酸誘導体の開発を行う。特に,3,3’位の置換基に様々な電子状態・立体的嵩高さの異なる置換基を導入することで,それらの効果・影響を調べることで,より優れた輸送剤の開発のための指針とする。
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Research Products
(1 results)