2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420769
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
鈴木 道隆 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20137251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00583709)
飯村 健次 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30316046)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ粒子塗布 / 発電効率向上 / 反射防止 / 太陽光発電パネル / 粉塵付着防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
比表面積相当径が7nmのシリカナノ粒子をアルコールに投入分散し、ナノ粒子懸濁液を調整した。このナノ粒子分散液を太陽電池パネルの表面ガラス板上にスプレー法で塗布し、本来は数nm程度の凹凸しかないガラス基板上に数十から数百nmの厚さのナノ粒子塗布層を形成し、可視光の波長以下の微細な凹凸を作製した。このような物理的表面改質を行った発電パネルと塗布しないパネルとを比較して、ナノ粒子塗布による発電効率向上効果があるかどうかを実験的に検証した。実験はソーラーシミュレータを使って疑似太陽光を作り、太陽電池パネルに垂直方向に照射して行った。その際に電流-電圧特性を測定して、その特性曲線に内接する最大面積の長方形を描き、その面積から発電できる最大電力を算出して発電効率を求めた。その結果、太陽電池パネルに垂直に光を当てた場合でも微細な凹凸を作製することによって発電効率を最大0.2%向上できることが確認され、ナノ粒子塗布効果があることが明らかとなった。 さらなる発電効率の向上を目指して、ナノ粒子塗布後の乾燥方法も検討し、塗布後に基板表面上にブラシや多孔板を置いてブラシの毛や多孔板の下とそれ以外の場所でナノ粒子懸濁液乾燥後のナノ粒子層厚さが異なることを利用して、乾燥後の表面の凹凸をより大きくする検討も行った。走査型プローブ顕微鏡で乾燥後の基板表面の凹凸状態を測定した結果、ブラシを置いて乾燥する方法が最も表面の凹凸が大きくなり、反射が減少して発電効率が0.5%増加することが明らかとなった。 ナノ粒子を塗布することによって、粉塵の付着防止効果があることが明らかとなっているので、その効果も含めると屋外での長期間の発電ではさらなる発電効率の向上が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子塗布によってもっとも効果が出にくい真上からの光照射についても光の反射を防ぎ、太陽光発電パネルの発電効率向上が可能であることを実験的に検証したので本研究はおおむね順調に進展していると考える。 さらにナノ粒子塗布効果が大きいと考えられる太陽光の入射天頂角が30~80度付近での発電効率や反射率、透過率の測定は今年度の課題である。また、さらなる発電効率の向上を図るためには懸濁液へのナノ粒子分散方法の検討や粉塵付着防止効果との相乗作用についてもさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
発電効率だけでなく、可視光の透過率と反射率も測定したが、反射率は減少するものの透過率は向上していない結果となり、発電効率向上の原因をさらに検討する必要がある。また、特にナノ粒子塗布による反射防止効果が大きいと考えられる疑似太陽光の入射天頂角が50~80度付近での発電効率や反射率、透過率の測定を重点的に行う予定である。 また、昨年度の実験では発電効率の向上は0.5%程度にとどまり、さらなる発電効率向上のためにはナノ粒子懸濁液の分散状態制御が不可欠である。そのための超音波分散器が必要である。 さらにナノ粒子塗布によってガラス基板表面の凹凸が増加することにより、粉塵の付着防止効果があることが期待されるので、今後は、屋外に太陽光発電パネルを放置した場合の汚れによる発電効率の低下に対してナノ粒子塗布がどの程度の粉塵付着防止効果があり、発電効率の低下を防ぐことができるのかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の実験結果から塗布方法だけでなく、懸濁液中でのナノ粒子の分散状態を調整することによってナノ粒子塗布層の微細な凹凸状態が変化することが分かった。したがってナノ粒子分散のための高出力の超音波分散器を購入し、出力や分散時間などを調整して分散状態を変化させ、実験を行う必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出力150Wの超音波分散器の見積もりをとったところ、691,200円であった。次年度使用額624,891円を利用して、この超音波分散器を購入する予定である。
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