2014 Fiscal Year Research-status Report
迅速混合に着目した超臨界水熱ナノ粒子連続合成プロセスの設計基盤の確立
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26420775
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 宣明 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (90437244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流通系反応器 / ナノ粒子合成 / 超臨界流体 / レイノルズ数 / 反応速度 / 混合速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず流通系反応器を構築し,2.0 mM硝酸セリウム水溶液と精製水を原料として粒子合成条件を亜臨界から超臨界領域で変化させた.精製水はヒーターにより設定温度まで急速昇温され, 1/16 inch用T字形継ぎ手部分で混合される.反応炉を通過後, 混合後溶液を冷却器で急冷することで反応を終了させた.なお,系内は背圧弁により30 MPaに設定した.ここで, ポンプによる供給流量をポンプ1 : ポンプ2 = 3.1 : 8.5, 5.6 : 15.4, 8.0 : 22.0 mL/min, 反応温度を340, 360, 380℃となるように変化させることで,それぞれの条件が生成粒子におよぼす影響を検討した.生成粒子の観察には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた.また,反応溶液中の未反応イオン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)により評価した. 反応温度380℃で合成した粒子の平均粒径は340℃で合成したものに比べて微小化していた.また,反応温度が高くなると粒径分布は狭くなった.流量を増やした場合も,粒子径が小さくなり分布は狭くなった.ICPを用いて反応溶液中の未反応イオン濃度を測定したところ,多くの条件で反応率は100%近くに到達しており,反応が混合部近傍で急速に完了することが示唆された. Re数による平均粒径・変動係数の変化も確認し,Re数増大とともに平均粒径は小さくなった.また,生成粒子の変動係数は各反応温度においてRe数増大とともに減少傾向にあった.この結果は,混合速度の指標であるRe数と反応速度を支配する反応温度が粒子径,その変動係数を大きく支配することを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究課題の平成26年度の進捗としては,申請書提出当初の計画をおおむね達成できていると考えている。計画のとおりセリア粒子の合成を行い,反応温度上昇・流量・流路サイズといった操作条件と合成粒子のサイズとその分布の関係を整理することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,前年度に引き続き,実験データから定量的な傾向を抽出していく。まず,温度・反応時間を振った実験による反応率と収率のデータから反応速度パラメータを特定する。さらに,成粒子のサイズ・形状と速度論から反応機構を推定する。 また,実験データを総括的に整理し,設計因子と生成粒子の性状を定量的に結びつける。整理の方法としては,現段階では,レイノルズ数のような無次元数あるいは乱流混合長のような混合スケールに対して粒子径または変動係数(CV)のプロットを行う。 超臨界水熱合成は速い反応であるため流量で粒子径が変わる,つまり混合律速になっていると予想している。混合が十分に速く(反応律速に)なれば粒子径は流動条件に依存しない値になると考えている。この条件がわかれば濃度や温度のみで粒径制御が可能になる。 反応律速になる条件の傾向を反応速度論と合わせて定量的に特定していく。これには反応の時定数と混合の時定数の比からなる無次元数(ダムケラー数)が重要な因子になるという仮説を申請段階では立てている。これを実際に検証していく。
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