2015 Fiscal Year Research-status Report
高温高圧水のコーク前駆体分散・水素供与効果に基づく温度勾配付与法による重質油改質
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26420778
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60375524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 重質油改質 / 水素化反応 / 高温高圧水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高温高圧水中に一酸化炭素が共存する系での重質油水素化改質において、温度勾配の影響を明らかとすることを主な目的としている。今年度は、重質油反応試験と温度勾配付与型高圧処理器の作成を行った。 まず、高温高圧水中に一酸化炭素を導入した系にて半回分式装置を用いた重質油改質を673 K~723 Kにて行った。比較のために行った水素を共存させた系と比較して、一酸化炭素を共存させた方が重質分であるコーク生成が抑制されており、高温高圧水中では、水性ガスシフト反応由来の水素を用いた改質が有効であることを確認した。次に、反応温度が生成油性状に与える影響を評価した。反応器から排出され回収される油分の沸点分布評価より、693 Kにて最も軽質化した油が回収できることがわかった。この理由として、高温領域ではコーク生成の促進と反応器から油分抽出の促進による滞在時間の減少によって水素化反応の進行が不十分であること、低温領域では油分の分解や水素化の反応速度自体が小さいことから、これらのバランスによって最適な改質温度が存在すると考えた。 また、昨年度に製作した温度勾配付与型高圧処理器について、水-アルコール混合物を処理器中央から導入して処理器上部と下部から連続的に排出する実験を行うことで、装置の試運転を行った。その結果、523 K,10 MPaでの高温高圧条件において、温度分布が存在する状態にて処理器上部と下部から分離後の溶液を安定的に回収することが可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
温度勾配付与型高圧処理器については、当初装置の本格稼働を行う計画であったが、試運転までを行った状態となっている。しかし、これまでにないタイプの装置にもかかわらず高圧状態での運転が可能となる状態までは開発を終えており、準備は進んでいると考えている。一方、重質油改質については、温度の影響に関する評価を終えて概ね計画通りの進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度試運転を行った温度勾配付与型装置について、反応を検討する前提条件として温度勾配が存在する高温高圧下での混合物分離性能について確認する必要がある。そこで、油モデル混合物を供給してその分離を行うことで、温度勾配を利用する有用性を明らかとする予定である。
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Causes of Carryover |
装置の試運転の過程において、部分的にヒーターを導入する等の細かい修正点が必要であることがわかり、突発的に生じるであろう問題点修正に向けた消耗品購入のために費用を確保しておく必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した金額は、追加ヒーター等の装置関連の消耗品費用に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)