2015 Fiscal Year Research-status Report
構造体触媒マイクロリアクターによる気相反応の高性能化
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26420779
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
桜井 誠 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60262052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 構造体触媒 / マイクロリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題の目的は、構造体触媒を用いることで高性能な気相反応マイクロリアクターの作成を目指すことである。平成27年度は前年度の結果を元に、さらに構造体触媒の反応性向上の効果について検討を進めた。前年度使用した材料においては触媒の剥離等が生じていたことがわかり、まずこの問題を解決し、剥離のない触媒を調製することが可能になった。この触媒のメタノール改質反応における活性を平滑なプレート状の触媒と比較した。前年度程大きな反応性向上結果は得られなかったが、シミュレーションモデルを構築してシミュレーションにより検討したところ、さらに凹凸の高さを大きな構造にすると流体の挙動の乱れが大きくなることがわかり、反応性向上の可能性を見出した。また、その他の構造にエッチングを施した材料、400ミクロン程度のフィン状構造を持つ材料等を用いて、平滑プレート状材料との反応性の比較を行った。フィン状構造を持つ材料については、これまで検討していたメタノール水蒸気改質反応のみではなく、発熱反応である水素燃焼反応についても検討を行った。いずれの反応についても構造体触媒を用いた方が反応性が向上し、その効果は外部拡散が影響すると考えられる高温側よりも低温側で大きいことがわかった。また、各反応において、温度域によらず活性化エネルギーはほぼ一定で、燃焼反応においても外部拡散の影響は大きくないことがわかった。これらの挙動、反応性向上の原因等についてシミュレーションモデルを作成してシミュレーションにより検討した。実験結果をほぼ再現するモデルを構築し、構造体触媒の配置の違いによる影響等をシミュレーションにより比較検討した。次年度はさらにシミュレーションによる詳細な検討を進め、活性向上の原因を明らかにするとともに構造体触媒マイクロリアクターの設計指針の提案について検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの構造体触媒を用いて、平滑なプレート状触媒と活性を比較し、活性が異なる原因について実験的により詳細に検討を進めることができた。そして、吸熱反応のみではなく、燃焼反応もモデル反応として扱い、活性の比較を実験的に実施することができた。また、構造体触媒の反応に対するシミュレーションモデルを構築することができ、シミュレーションを用いて様々な条件における反応性、反応器内の流体の挙動等を検討することができるようになったため、ほぼ計画通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらにシミュレーションによる詳細な検討を進め、実験による検討結果と詳細に比較検討しながら、構造体触媒において反応性が向上する原因を流体の流動状態に注目しながらより明確化することを進める。そして、その結果に基づき、さらに反応性を向上させることができるような構造体触媒の形状を提案する。さらに、シミュレーションによる検討から、反応性向上の効果を定量的に表現することができるような評価指針や、構造体触媒マイクロリアクターの設計指針についての提案をすることを目指す。
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Causes of Carryover |
物品費はほぼ計画通り使用しており、平成26年度から繰り越した旅費相当額が、成果発表を予定していた国際会議がさらに平成28年9月に延期されたために再度繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を推進するための物品費とともに研究で得られた成果発表の旅費として使用を進める計画である。
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