2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420783
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
松橋 博美 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70192341)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 固体塩基 / 塩基強度 / 昇温脱離 / プロピレン |
Outline of Annual Research Achievements |
固体塩基の塩基強度と量は基本的な物性である。この測定には,CO2が使用されている。しかし多くの場合CO2と塩基点との相互作用は化学反応であるため,その使用には限界がある。そこで,酸性の弱い炭化水素を用い,室温以下の温度での吸脱着により評価することを構想した。本研究の目的は,固体塩基の塩基評価法として,不活性な炭化水素の昇温脱離を検討することにある。 固体塩基として, 水酸化物の熱分解で調製したCaOとMgOを用い, He気流中に保持し773 Kで活性化した後, プローブ分子を吸着させた。吸着は条件検討の結果,143 K,プローブ0.02 mlを導入することによって行うこととした。同温度で排気後, 133 Kまで温度を下げ, 1 K/minで昇温した。プローブとしてプロピレン, プロパン, イソブタン, イソブテンを用いた。脱離した炭化水素はFIDにより検出,TPD曲線に理論式を当てはめて活性化エネルギーを求めた。 773 Kで活性化したCaOからの,各種炭化水素の昇温脱離の結果,四種類の炭化水素は脱離ピークを与え,ピーク温度は,プロパン,イソブタン,プロピレン,イソブテンの順に高くなり,それぞれ172 K,193 K,206 K,228 Kであった。CaOは,1173 Kで熱処理すると,ほとんど活性を示さなくなる。1173 Kで活性化したCaOでは,四種類の炭化水素の脱離ピークは低温側へ移動した。よって,これらのプローブ分子は活性点に吸着していると考えられた。一般に炭化水素分離用の強極性カラムでは,保持時間はプロパン,プロピレン,イソブタン,イソブテンの順となる。脱離温度の順はこれとは異なり,特にプロピレンの脱離が高温で見られることから,プローブと表面の相互作用は,分極の大きさに依存するものではなく,酸塩基的な相互作用であるとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は炭化水素の吸着等温線の測定後に昇温脱離に進む事を想定していたが,結果的に昇温脱離でプロピレンがプローブとして優れていることが明らかになったため,昇温脱離の測定を集中的に行った。また,検出器として水素炎検出器(FID)が使用可能であったため,GC-MSの改造ではなくFIDガスクロマトグラフの改造で実験を行った。実験方法は異なるものの,当初の目的として固体塩基の塩基強度測定のプローブとして,プロピレンが使用可能であることを明らかにしたことから,おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
固体塩基の塩基強度測定のプローブとして,プロピレンが使用可能であることが明らかになったことを受け,種類や活性化条件の異なる固体塩基について,触媒活性と昇温脱離プロファイルの関係を明らかにする。
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Research Products
(1 results)