2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel culture method for obtaining human iPS cells with high pluripotency
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26420794
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
黒澤 尋 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10225295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 和樹 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80423838)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ノコダゾール / ヒトiPS細胞 / 心筋分化 / 胚様体 / 多能性関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果により、微小管形成阻害剤であるノコダゾール処理によってヒトiPS細胞(hiPSC)の細胞周期同調が可能であることが明らかになったが、ヒトES細胞(hESC)においては、ノコダゾール処理により多能性関連遺伝子の発現量が減少することが報告されている(Kallas, A., et al., PLoS One. 2011,6(4):e19114)。このことから、我々はノコダゾール処理によって、細胞の均一性を高めるのと同時に分化誘導を促進できると考えた。本研究では、hiPSCの心筋細胞分化に及ぼすノコダゾール処理の影響について検討した 単層培養したhiPSC(201B7)を分散して、4日間の浮遊培養を行い胚様体(EB)を形成した後、心筋分化誘導を行った。ノコダゾール処理は、EB形成の前段階で1日間処理(前処理群)、EB形成の全期間中(4日間)処理(全処理群)、EB形成期間の後期で1日間処理(後処理群)の3条件で行った。いずれの群もノコダゾール濃度は200ng/mLとした。 hESCの場合とは異なり、hiPSCでは、ノコダゾール処理しても多能性関連遺伝子(OCT3/4, NANOG)の発現量は低下しなかった。全処理群では、むしろNANOGの発現量が顕著に増加した。このためか、全処理群では心筋細胞分化が他の処理群よりも遅れる傾向がみられ、心筋関連遺伝子(GATA4, TNNT2, αMHC, MLC2a)の発現量も他の処理群に比べて低かった。心筋の拍動率は分化誘導したEBの60%程度にとどまった。一方、前処理群においては、心筋の拍動が始まる時期が他の処理群よりも早くなり、心筋分化誘導を行ったEBのすべてで拍動が確認された(拍動率100%)。以上より、ノコダゾール処理の時期・時間により、hiPSCの心筋分化に異なる影響が現れることが示唆された。
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