2015 Fiscal Year Research-status Report
無機錯体を内包するナノ球体リポソームを用いるウイルスの高感度電気化学検出
Project/Area Number |
26420800
|
Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
江頭 直義 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (90094060)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | バイオセンサ / リポソーム / インフルエンザウイルス / 電気化学検出 / フェリシアン化カリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本検出法は、ウイルスの迅速判定に役立つ、低コストな手法を開発することを目指す。 今年度は以下の結果を得た。 1.内包電気化学活性種の最適化: 前年度は内包電気化学活性種としてフェロセンジカルボン酸2ナトリウム塩を使用したリポソームを用いて検討したが、溶解性が幾分低い欠点があった。そこで1.0 M濃度の内包が可能なフェリシアン化カリウムを用いてリポソームを調製し、内包安定性について調べた。0.20 - 0.40 Mの濃度では、40日程度でも低い漏出であり、最も強い電気化学応答を示した。 2.イムノリポソームの調製: これまでと同様な方法でBSA抗体を用いてイムノリポソームを調製した。幾つかの非イオン性界面活性剤によるリポソームの破壊条件を調べると200ppmTritonX-100が最適であった。漏出フェリシン化カリウムは、購入した電気化学検出(+0.50 V vs. Ag/AgCl)を用いるフローインジェクション法で定量した。 3.マイクロプレート上でのBSAの検出: 代表的なタンパクであるBSAタンパクをマイクロプレートにBSAを固定化した後、検体である、様々な濃度のBSAと一定量のイムノリポソームを添加し、抗原抗体反応した。PB溶液で洗浄後、TritonX-100を含むPB溶液でリポソームを破壊した。得られた検量線は0.01 - 1μg/mLの範囲で良好なシグモイド曲線を示した。抗原抗体反応15分間でも十分な応答が得られ、さらにマイクロプレートの調製でも簡略できる特性があることを見出した。この結果は、本手法が通常の迅速判定に使用できる可能性を示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
0.40Mの高濃度の電気化学活性種を安定に内包するイムノリポソームを調製することができた。さらに、このイムノリポソームを用い、マイクロプレード上短時間(15分間)の抗原抗体反応時間でBSAの検量線を作成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.抗原抗体反応時間および測定操作全体のさらなる短時間化が可能か検討する。 2.他のタンパクの検出へ応用する。 3.得られた最適条件で最終目的であるインフルエンザウイルスについて検量線作成を試みる。
|
Causes of Carryover |
物品費の納入金額が見込みと異なったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分は、次年度の物品費として使用する。
|
Research Products
(3 results)