2014 Fiscal Year Research-status Report
層流摩擦ポンプの高効率化に向けた設計検討とマイクロ化の実現
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26420808
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 光司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (70376507)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロ流体機械 / 層流摩擦ポンプ / 境界層 / 小型ポンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ロータ直径80mmの層流摩擦ポンプを対象に,プロトタイプ実験機の設計試作と試運転を行った.実験機設計に当たっては,事前に行った数値解析の結果を参考に設計パラメタを決定し,試作を行った.また,装置効率改善に有用であると期待されている回転絞り流路についても,その効果を確かめるために試作・実験を行い,その効果を調査した. 実験を行うに当たり,ロータ出口における流れの向きを正確に計測することが重要であることから,タフト法を用いた計測を試みた.事前に行った予備実験により,適切なタフト形状を選択し,対象としている流れ場において,流れの向きを正確に計測できることを確認した.また,計測位置精度が結果に大きく影響を与えることが分かったことから,小型精密サーボモータを用いて正確にタフト設置位置を定められるようにし,再現性の高い計測を行えるよう工夫した. まず,ロータ単体での実験を,オリジナルロータ形状と回転絞り流路を適用した場合で比較したところ,回転部出口における流れの向きについて,事前に予想していたものとほぼ同一の効果が表れていることが確認された.回転部出口における流れの向きは,装置の効率と密接に関連することが,事前の数値解析で明らかにされていることから,回転絞り流路によって所定の効果が得られていることが確認された. 次に,スクロールなどの流路構造全てを装着して実験を行ったところ,圧力と流量に関する作動特性については,事前に予想されていた効果が現れていることが確認できた.しかし,残念ながら装置効率の改善は確認できなかった.様々な実験条件での結果から総合的に考察した結果,効率改善が確認できなかった主な原因は,流れ場の変化によるのではなく,回転絞り流路取り付けに伴うケーシング抵抗の増大であると考えられ,これを低減するための装置設計改善が求められることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で,回転絞り流路を用いたプロトタイプ実験機の試運転と計測まで行うことができたのは,当初の予定よりも早い(当初予定ではH27年度に実験を行う予定).一方,微細溝については,具体的な設計や効果を議論するためには,回転絞り流路の形状を決める必要があることが分かったため,後回しにしている. 以上を総合すると,概ね予定通りの進捗とみなすことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,初年度に問題点として明らかとなったケーシング抵抗を低減できるように実験機の設計改良を行い,回転絞り流路による効率改善が確認できるようにすることを目指す.次に,これに適合した微細溝付ディスクを設計試作し,その効果について議論する. その後,上記の実験から得られた知見に基づき,さらに小型の層流摩擦ポンプの製作に取り組む.
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Causes of Carryover |
3月に計上した出張旅費について,安価なものを手配することができたことと,出張が年度末であり,該当の出張後に物品購入等を行わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当面,製作した実験機の設計改良を行う必要があり,これは当初の予定に無かった作業であることから,当該助成金をその一助とする予定である.
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Research Products
(1 results)