2014 Fiscal Year Research-status Report
ファン騒音の数値計算による現象解明と低減設計探求,及び制御則を用いた能動制御実験
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26420813
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 伸彦 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70166635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪口 雄三 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准助教 (30274509)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ファン騒音 / 動静翼干渉音 / トーンノイズ / 広帯域乱流騒音 / URANS / 乱流モデル / 分離解法 / アクティブノイズコントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はファン騒音の発生原因の解明と低減技術の開発について包括的な研究をおこなうものであり,次の3本の柱から成る. (A)ファン騒音におよぼす動静翼列の幾何形状の影響を数値計算によって明らかにすること,(B)乱流騒音源と騒音伝播とを高い精度で予測できる計算手法を確立すること,(C)騒音のアクティブ制御実験を実施しその有用性を示すこと. まず(A)の幾何形状の影響については、動静翼間距離、静翼の周方向への傾斜角(リーン)、静翼の軸流下流方向への傾斜角(スイープ)、などの幾何形状パラメタがファン騒音におよぼす影響を包括的に調べ,本年10月開催予定の国際会議で発表すべく結果をまとめている. 次に(B)の乱流広帯域騒音源については,従来の1方程式乱流モデルを2方程式乱流モデルに変更することで,乱流エネルギーの大きな場所(すなわち広帯域騒音源とみなすことのできる場所)を直接評価できる状態とした.また音の伝播を周波数空間で高精度に計算する手法を開発し,理論解析解と比較することで検証計算をおこなった. 最後に(C)のアクティブ制御実験については,ケーシングに設置したマイクロフォンを用いてファンダクトの上流方向・下流方向へ伝播する音波を分離することに成功し,また分離した音波に対してアクティブ制音をおこなうことにも成功した.アクティブ制音にあたっては,誤差マイク位置での騒音が最小二乗の意味で最小となるような適応フィルタ(filtered-X LMS)を周波数空間で構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柱(A) 目的1「ファンの幾何形状のファン騒音と空力性能に及ぼす効果の解明」のうち,前半部分のファン騒音におよぼす影響については,計算が完了し結果をまとめているところであるが,後半の空力性能評価についてはこれから解明していくところであり,当初の研究計画からすると「やや遅れている」. 柱(B) 目的2「放射音響場の数値計算法の確立と音響モードと放射場の関係の解明」については,前半部分の計算手法の確立が道半ばであるものの,ほぼ研究計画どおり進んでおり「おおむね順調に進展している」状態である. 柱(B) 目的3「ファン広帯域騒音の予測精度向上と発生位置同定」についてもほぼ研究計画どおりに「おおむね順調に進展している」. 柱(C) 目的4「上・下流伝播,複数半径方向モードの分離によるファン騒音能動制御の高性能化」の前半部分の上・下流伝播にはすでに成功した.後半部分の複数半径方向モード分離はこれから手がける部分であるが,最終年度の実施計画であるので「おおむね順調に進展している」. 柱(C)目的5「円環ダクト形状からハブ側にセンサを設置できない円筒ダクト形状への拡張実験」は当初計画では3年目に実施予定であったが2年目には実施できる見込みであり「当初の計画以上に進展している」.
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Strategy for Future Research Activity |
目的1については,平成 26 年度に実施予定であった「流量を正確に評価する定式化,プログラムへの実装,そして,この流量を用いた空力性能評価法をファンの作動曲線上の挙動での検証」をすみやかに実施する. 目的2・目的3については当初の研究計画どおりに「平成 26 年度に作成した放射音響場計算コードをダクト内の音源・ダクト内音響伝播計算と接続して,音源からのファン騒音の数値予測を実施する」とともに「平成 26 年度に提供される 2 方程式乱流モデルを用いた乱流流れ場計算プログラムを用いて広帯域ファン騒音源である高乱流エネルギー位置とその大きさを特定する」 目的4はすでに達成しており,目的5については計画当初は最終年度計画であった「環状ダクト内からハブ (ダクト内壁) を取り外し,円筒ダクトでの能動制御実験を実施する」.
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Causes of Carryover |
次年度に複数の国際会議にて成果発表するため繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機使用料に約 260 千円、成果発表に約 410 千円(韓国)と約 700 千円(米国)の使用計画である。
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Research Products
(6 results)