2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420819
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
石村 康生 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10333626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱変形 / 高精度構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
"使える技術"として,トラス構造の高精度形状制御システム構築を行うことが本研究の目的である.本年度は,1.9メートルののトラス構造を対象に,トラス下端に対する上端の位置制御を行った.トラスの各部材にヒーターを取り付け,ヒーターの出力制御によって各部材の熱膨張を制御した. 構造物の軌道上での形状変化として,熱変形といった周期外乱を想定し,モデル予測制御を用いて形状制御を試み,数ミクロンメートルのオーダーで形状制御が可能であることを確かめた.ただし,可動域の拡大を試みたところ,熱応力による部材の損傷が確認され,弾性ヒンジの適切な設計開発が重要であることが判明した. 本研究では,人工的な部材の熱膨張をアクチュエータとして利用し,摺動部がない高い信頼性を有するシステムとしている.一方で,モデル予測制御を用いるためには,このアクチュエータを含めたシステム同定精度が重要である.部材内部の予期せぬ温度ムラは,制御精度を著しく悪化させることが判明したため,部材の温度一様性の改善を試みた.具体的にはヒートパイプを部材として採用し,従来のアルミパイプを用いた場合と比較して,温度一様性が改善されることを確かめた(温度ムラが,10%→4%へ低減). 更に,軌道上での変位計測を想定し,対象構造システムに固定できる内界センサを開発した.レザー光源とPositionig Sensing Deviceを用いたシステム構成である.各種条件下での精度評価を行い,10mの測定距離において,計測誤差の標準偏差が10ミクロンメートル以下であることを確かめた. 次年度以降は,高精度構造制御システムの実現を目指し,上述の個別技術を統合する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行に対して見通しが明るかった構造及び制御系の研究については,順調に進捗している.一方で,今回,申請者にとって新たな学術分野であった熱制御に関する研究課題においては,申請者の所属する宇宙科学研究所における熱システムのエンジニアの助言を得ることができ,円滑な研究遂行が実現できたためだと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は真空環境下での性能評価を計画していたが,本年度新たに明らかになった 可動域の拡大に向けた弾性ヒンジの適切な設計開発を優先的に行い,真空環境下での性能評価は,部材レベルでの断熱環境での性能評価によって実施することも視野に入れる.
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Causes of Carryover |
実験機器製造費が下がったことと,学会発表及び研究動向調査の出張旅費が想定よりも安価で済んだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度新たに判明した課題に対する実験機器の改良費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)