2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26420819
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
石村 康生 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10333626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トラス構造 / 宇宙構造物 / ポインティング制御 / 熱変形 / 熱膨張 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラス構造の高精度形状制御システムの実現に向け,真空環境下での熱膨張アクチュエータの性能向上に向けたハードウェア改良 及び 軌道上における性能のフィージビリティスタディを実施した. まず,熱膨張アクチュエータについては,昨年度までは部材内温度の一様性向上を目指して,ヒートパイプを利用していた.本年度は,真空環境下での放熱性能の向上のために,ラジエータを付与した.一方で,このラジエーション機能は,放熱時には有効であるが,加熱時にはむしろ逆効果である.そのため,加熱時の応答速度維持のために,ラジエーション部とまでの熱コンダクタンスを可変とする可変コンダクタンスヒートパイプの利用を行った.その結果,系全体に与える熱量が一定でも,コンダクタンスを変えることで,10~40%程度の温度上昇量の改善が実現できることが確かめられた.一方で,放熱に関しては,ヒートパイプの潜熱の影響が大きいことが判明し,次年度以降の改善課題となった. 次に,軌道上における性能のフィージビリティスタディについては,可動域,必要電力,応答速度の3つの観点での評価を行った.軌道上での高温・低温ワーストの条件下で,当初想定である10m規模のトラス構造先端での1mmの可動域に対して,数十ワットの電力で実現できる見通しを得た.さらに,応答速度に関しては,ヒートパイプではないアルミ合金製の熱膨張アクチュエータであれば,適切に基準温度を設定することで,軌道周期に対して,5%以下の十分短い時間での応答が可能である見通しを得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真空環境下での性能評価について,解析予測及び要素試験の実施を行い,当初予定通りの成果を得ている.トラス構造を含めた制御システム全体の性能評価に向けた準備は,想定よりも早く進めることができており,次年度には円滑に評価を行えると予測している.一方で,真空チャンバーを用いた試験は,各種調整がうまくいかず,次年度へ持ち越した.
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Strategy for Future Research Activity |
要素技術として開発していたシステムを全系くみ上げ,全体としてのシステム性能を評価する.一方で,昨年度からの持ち越しである真空環境下での性能試験は,チャンバーによる評価を前提としつつも,困難であれば,断熱及びチラーによる強制冷却などの模擬環境を適切に設定することで,当初の予定通りの性能評価を行える方策も視野に入れる.
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Causes of Carryover |
当初予定していた真空槽試験を次年度に繰り越したため,治具製作費も次年度繰越となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に,治具製作のために利用する予定である.
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