2014 Fiscal Year Research-status Report
複合係留による洋上風力発電浮体の性能向上に関する研究
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26420826
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末吉 誠 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (80380533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 風力発電 / 洋上風力 / 浮体 / 風車 / 係留 / 海洋工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実施予定とした研究内容は計算による新しい浮体型洋上風力発電装置の係留方法に関する機能検討である。 風車と係留系取り付け方法に関する計算結果をもとにして、浮体だけではなく風車側に機構的な工夫を行うことで浮体のコンパクト化と係留設置の簡易化に関する検討を行った。これらのシミュレーション計算の結果として、新しい形式の係留と風車構造の組み合わせの場合ヨー運動とピッチ・ロールの組み合わさった複雑な連成運動を誘起する場合が予想された。 この結果を受け、風車と補助翼などによる空力制御の組み合わせで運動の安定化を行った方がよいと判断されたため、当初抵抗板のみで簡易に済ます予定であった風車部分に関してブレードのピッチ制御が可能な模型へと置き換えを試みることとした。次年度に行う予定の水槽実験に間に合わせるために3Dプリンタを活用して模型の設計と試作に取り掛かり、各種機構の確認とブレードのピッチ角の制御機構、発電機を備えた風車模型の試作を行い、作動確認を行った。試作された風車模型は、1/100と比較的小スケールながらブレードの可変ピッチ機構と増速・発電機を備えつつ、直径を約3㎝と小型に収めることを実現した。完成した風車模型は集風体のディフューザを自転車のホイール状の張線方式によりアームレスで搭載しつつ、補助翼として備えるスタビレータとラダーによるヨー・ピッチ方向のモーメントレバーを稼ぐために長く前方にナセルを突き出した従来型風車にはほとんど見られない特殊な形状を持つものとなった。 また風車側への空力制御の付加と、安定性増強、水上で水平に近い展張角の係留索を固定する形式を取りつつ、施工性の向上を配慮した新しい浮体形式について模型の設計を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り数値シミュレーション結果から当初設計案の問題点を発見し、改善策を取り入れた設計変更を検討した。変更に伴い当初予定になかった複雑な実験システム(可変ピッチ機構を含む風車)を作成することになったが、所属機関に新たに導入された高性能3Dプリンタの活用により実験模型の主要部分の試作を行ったところ実現の見込みを得ることができた。 またシミュレーションによる当初案に含まれた問題点の確認と、その検討・改良のプロセスが順調に進捗し、次年度の模型実験に向けての準備が予定通り進んだものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初案から機構的な改良を行ったため模型実験用の風車が複雑化し、それに伴って浮体形状も変更されたものの、実施スケジュール上の大きな変更の必要は現在のところ認められない。 風車や補助翼の制御機構の開発に関しては当初計画にはなかった課題であるものの、所属機関の電子回路等に知見のある技術職員や制御の専門家のアドバイスが得られる環境にあるため、作業量の増加などはあるものの、最終年度を予備実験期間として確保しており研究期間中に予定の研究内容実施は可能と考えている。
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