2014 Fiscal Year Research-status Report
検出困難な異常を前提とした漁船機関に最適な状態監視・診断システムの構築
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26420839
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
太田 博光 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 准教授 (80399641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 状態監視 / 診断 / パラボラ集音マイク / 波形分離技術 / 複合異常 / 潤滑 / 摺動性超音波振動 / 漁船 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度までに実施した「パラボラ集音マイク」と「波形分離手法」 を用いることで狭空間に複数の機械設備が配置されている環境下でも1個のパラボラマイクのみで単一の異常であれば高効率, 高精度に状態監視が可能であることが判明している.本年度は複合異常が発生した場合の状態監視手法の構築を試みている.特に回転機械設備に発生する一般的な異常である 「ミスアライメント」「転がり軸受損傷」「全歯車摩耗」が同一の機械設備に同時に発生した際の状態監視・診断手法の確立である.手法としては得られた音圧時系列波形の周波数領域にて各異常時に固有に発生するパス周波数を検出することで各異常の発生を検出している.検出後,提案する波形分離手法を適用し,さらに逆フーリエ変換を施すことで,状態監視・診断上重要な各異常単体の時系列波形を得ることが可能となっている. 次に潤滑に関する状態監視技術の開発に関して述べる.提案した摺動性超音波振動を測定・定量化する手法は格段に迅速かつ簡便なもので 潤滑油の性状だけでなく同時に油膜厚さの予測も可能であるため潤滑状態も同時に評価できる利点がある.しかし, 摺動性超音波振動の発生する正確な周波数帯域は明らかになっておらず, 経験的に5[kHz]~200[kHz]の広帯域にて解析し,定量化を行っていた.本年度はSN比を改善することで検出精度の高精度化を試みている.発生周波数帯のパラメータとしてピストンの回転数(摺動速度),シリンダライナの表面粗さである.本年度は供試用潤滑油として粘性が高く,形成する油膜が厚くなる無添加タービンオイル(ISO粘度グレード46)を使用し基礎実験を行い発生帯域の同定と発生量の定量化を行い,高精度検出を実現している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型船舶に比べメンテナンスが行届いていない漁船機関やその周辺機械設備を対象とする状態監視・診断システムの構築を目的としている. 具体的には漁船機関や周辺機械設備に発生する検出困難な複合異常および潤滑に関わるの状態監視・診断技術の高精度化を図り, 自動的に診断まで行うシステムを構築することを目的をしている.本年度は交付申請書に記載している3種類の異常「ミスアライメント」「転がり軸受損傷」「全歯車摩耗」が同時に発生する複合異常の検出および潤滑に関わる摺動性超音波振動の正確な発生周波数帯域の同定に試み,良好な結果を得ている.提案手法の有効性を確認しており本研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,検出困難な複合異常に関して対象設備をレシプロ機関とし3種類の異常 「トルク リッチ」「ミスアライメント」「転がり軸受損傷」が複合して発生した際の状態監視・診断手法の確立に取り組む.前年度までと同様に,提案手法により複合異常をそれぞれ単一の異常に分離した後,自動診断を行うために, それぞれの異常に対して検出感度の高い兆候パラメータの感度解析を行い,感度の高い数種を同定し選定を行う. 選定されたそれぞれの兆候パラメータを用いることで, 発生した異常の種類を推定し診断を行うルーチンをプログラミング化し,自動診断システムを構築する.潤滑に関する状態監視技術の高精度化に関しては粘度の低い無添加鉱物油(ISO粘度グレード22)を使用した基礎実験を行い発生帯域の同定と発生量の定量化を行う.採取油中の計数汚染度と試験機の摺動速度,作用荷重,油温から算出される油膜厚さを基に「計数汚染度-油膜厚さ-摺動性超音波振動の発生量」に関する3次元グラフを作成し,摺動性超音波振動の発生量から計数汚染度(潤滑油性状)と油膜厚さ(潤滑状態)を同時に推定できるようになることを目指す.
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Research Products
(8 results)