2016 Fiscal Year Research-status Report
表層型メタンハイドレート採取容器の開発とその生成史の解明
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26420843
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 篤史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (10335333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / 非在来型天然ガス / 分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度開発した,海洋調査で採取する「分解水を含むメタンハイドレート試料」から「未分解のメタンハイドレート」を回収するためのステンレス製の高圧容器を用い,メタンハイドレートの分解実験を遂行した.分解の様子を観察したところ,加圧過程において容器内部の温度が上昇し,氷だけでなくメタンハイドレートも分解してしまうことが判明し,その抑制を行うための更なる工夫を装置に施した.対策として,容器へ導入する直前に液体窒素を用いて加圧ガスを冷却する,加圧ガスのフロー量を調整する,分解実験前の容器の冷却温度を調節することを行った.その結果,高圧容器に導入するガスの温度は低くなり,加圧ガスのフロー量が大きい方がメタンハイドレートの分解なしに高圧容器内をメタンハイドレートが安定となる高圧低温条件にすることができた.また,装置の事前冷却温度を4℃以下にしておくと,加圧過程でメタンハイドレートの分解を抑制できることがわかった.これらの実験条件のもとで,メタンハイドレート試料と氷試料を同時に高圧容器に入れ,3時間その場観察したところ,時間経過とともに氷は溶けしまうが,メタンハイドレートは溶けきることなく容器内に残ることが観察された.また,メタンハイドレート試料の粒界などにある氷も溶け出すことが観察され,当初計画していたメタンハイドレートと氷がともに含まれる試料からメタンハイドレートのみ取り出すことが可能であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,開発した装置を用いて「未分解メタンハイドレート試料」を取り出し,その分析をすすめることで年代推定を行う計画であったが,メタンハイドレート試料を取り出すにあたって想定していなかった課題が判明し,その克服に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
適切な実験条件を明らかにすることができたため,今後は海洋調査で採取したメタンハイドレート試料を用いて,未分解のメタンハイドレート試料の取り出しをすすめ,そこに含まれるメタノールやホルムアルデヒドを分析し,年代推定を進めていく計画である.
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Causes of Carryover |
メタンハイドレート固体の取り出し装置についての設計・開発を行ったところ,圧力容器へ導入するガスによる加熱(加圧時)のため試料が過剰に溶解するという未想定の課題が判明した.これを解決するための改良を装置に施し,実験手順の再検討を行ったところ,課題を解決できたのが2017年1月であった.天然採取試料を用いた分析にはなお数ヶ月の時間を要するため,補助事業期間の延長を希望した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メタンハイドレートの固体取り出しのための消耗品,高圧ガス,寒剤などの消耗品費,GC/MSの調整費に使用する計画である.
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Research Products
(7 results)