2016 Fiscal Year Research-status Report
チタン酸塩のナノ構造制御によるセシウム捕集・安定閉じ込めに関する研究
Project/Area Number |
26420874
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
阿部 英樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点 水素製造材料グループ, 主幹研究員 (60354156)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セシウム / 捕集 / 安定閉じ込め / 一貫プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、セシウム水溶液からのセシウム吸着・捕集から固化閉じ込めまでの全過程を一貫して行うことにより、本研究の達成目的である放射汚染水からのセシウム捕集・閉じ込め技術の実現可能性の評価を行った。具体的には、①層状チタン酸カリウム材料(K2Ti2O5およびK2Ti4O9)のカリウムイオン交換によってそれぞれの材料に対応するチタン酸ナノシート(HxTi2O5およびHxTi4O9)を合成、合成されたナノシート材料によるセシウム水溶液からのセシウムイオン吸着・捕集効果を評価するとともに、②セシウムイオンを吸着・捕集したチタン酸ナノシートをモリブデン酸化物熔融塩に溶解、電気分解することによって得られたセシウム固化体(CsyTi2O5およびCsyTi4O9)を、水熱条件下における加速リーチテストに曝し、セシウム閉じ込め効果を評価した。その結果、水溶液からのセシウム吸着・捕集能力は、HxTi2O5がHxTi4O9に勝るものの、その後の熔融塩電解・セシウム固化体合成に当たっては、CsyTi4O9がCsyTi2O5よりも高い収率を上げることが明らかになった。それぞれの固化体のセシウムリーチング耐性は、150℃水熱条件下での加速試験においては、有為の相違を示さなかった。この結果は、セシウム吸着・捕集に対しては、結晶構造の2次元性が高く、インター化レーション能力に優れるAzTi2O5型チタン酸ナノシート(A:カチオン)が、チャンネル状の結晶構造を持つAzTi4O9型チタン酸ナノシートに対し優位性を示す一方、CsyTi2O5からセシウム固化体CswTi6O13(ホランダイト構造)への転換にあたっては、チタン酸フレームワークの構築を促進するために、TiO2材料を熔融塩へ追加する必要があることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始からこれまで行ってきた要素技術(チタン酸ナノシートの合成・ナノシートによる水溶液からのセシウム捕集・セシウム置換されたチタン酸ナノシートの熔融塩電気分解による結晶化によるセシウム閉じ込め・水熱加速条件下におけるチタン酸結晶固化体からのリーチング評価)をはじめて複合化し、本研究が目的とする水溶液からのセシウム捕集から閉じ込め固化への一貫プロセスを完遂し、プロセス全体の実現可能性(フィジビリティ)評価を行うことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の放射汚染水は、セシウムイオン以外に、高濃度のナトリウムイオンを含んでいる。チタン酸ナノシートを利用したナトリウムイオンを含むセシウム水溶液からのセシウムイオン選択捕集に関しては、本年度までの要素研究により一定の成果を得ている。今年年度は、ナトリウムイオンとセシウムイオンを含む水溶液からのセシウムイオンの選択捕集・閉じ込め一貫プロセスの確立とフィジビリティ評価を行う。
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Causes of Carryover |
本研究の目的は、低次元構造チタン酸塩のナノ構造制御によるCs水溶液からのCs捕集・閉じ込め技術の開発である。研究の結果、低次元チタン酸塩は、研究開始当初の想定を超える優れた選択的Cs捕集(異なったイオン種の共存下における選択的Cs捕集)能力を備えていることが見出された。新たに見出された新機能の定量化と機構解明、および知的財産化と論文化のために、今一年間のプロジェクト期間延長が必要十分である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、上記研究目的の実現にむけて、セシウム捕集・固化技術のフィジビリティ評価を推進する。具体的には、研究者所属組織の分析ファシリティを活用し、水溶液からのセシウム捕集効率およびセシウム固化体のリーチング耐性を定量化する。最終年度となる本年度は、これまで研究成果の知的財産化と論文化を行う。残余の研究費は、上記分析ファシリティ使用料および論文必要経費として使用する予定である。
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