2014 Fiscal Year Research-status Report
ガンマ線共鳴反応による同位体識別のための核反応断面積の評価研究
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26420876
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
岩本 信之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (70391307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核データ評価 / ガンマ線共鳴反応 / 非破壊検査 / 原子核共鳴蛍光散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
核共鳴蛍光散乱を利用した同位体識別手法を検証するための基礎データとなるガンマ線エネルギーに対する核反応断面積の評価研究を実施し、応用上十分なエネルギー範囲をカバーしたガンマ線誘起反応断面積データベースの開発を目指す。 対象核種の選定:使用済核燃料の組成から特に重要なU-235、U-238、Pu-239、またこれら以外に生成量の多いNp-237、Pu-240、U-236等を選定した。また、アクチノイド核種には放射性があるので、遮へい等のためにSUSやコンクリート等の構造材に格納されていることを考慮して、これらを構成する鉄、ニッケル、シリコン、鉛等についても併せて選定した。 励起レベル情報の収集:選定した核種について核共鳴蛍光散乱実験等により報告されている共鳴レベルに関する性質(励起エネルギー、スピン、パリティ等)、積分断面積値や基底状態へのガンマ線遷移強度等のデータを収集した。また、収集したレベルに関するデータに複数の測定がある場合には、測定・解析手法の検討からより確からしいデータを選別した。 ガンマ線共鳴解析:測定された励起レベルに対する情報を基に個々の共鳴断面積をブライト・ウィグナー型の断面積で記述し、それらをすべて加え合わせることによりガンマ線に対するエネルギー依存性を持った断面積を算出した。この共鳴解析における入射エネルギーの範囲は0.1MeV から測定された共鳴レベルの上限エネルギーまでとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、核不拡散等の観点からもその実用が期待される核共鳴蛍光散乱を利用した非破壊検査手法の確立のために、断面積データを整備すべき使用済核燃料や構造材を構成する核種から実験データのある核種を選定し、励起レベルに関する情報を収集した。また、選定した核種に対して収集した励起レベル及び強度情報を基にガンマ線共鳴解析を進めることが出来たので、所期の計画を達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ガンマ線共鳴解析により得られた断面積の上限エネルギー以上の断面積計算には、統計理論等に基づく核反応理論モデルを採用する。断面積測定実験による測定データを収集・評価し、測定データと核反応モデルによって算出された結果を比較・検討することによりガンマ線入射エネルギーに対して最も妥当な断面積を決定する。また、入射エネルギー範囲として共鳴領域の上限から巨大双極子共鳴(GDR)の寄与が重要となる30MeV までの断面積を導出する。また、GDR を記述するガンマ線強度関数がガンマ線の吸収に大きな影響を与えるため、数種類のGDR モデルによって測定データへの再現性を検証し、採用する強度関数モデルを決定する。 得られた結果を取りまとめ、成果発表を行う。以上、交付申請書に記載の研究実施計画通りに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に予定した物品の購入に充てた経費の残額であり、これによる次年度の研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題は生じない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、計算に使用した入力データや大容量となる計算データ等を保存するために損失リスク低減機能の付いたバックアップ用装置を購入する。加えて、非破壊検査関係等の図書を購入し、検討資料とする。また、研究成果の発表及び非破壊検査手法について最先端の状況を知るために、関連学会や研究会へ参加するための旅費として計上する。
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