2014 Fiscal Year Research-status Report
放射線被ばく事故における迅速なトリアージのための生物線量評価方法の開発
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26420879
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
數藤 由美子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, チームリーダー (70313202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穐山 美穂 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 技術員 (70415404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 未成熟凝縮二動原体染色体分析法 / 細胞融合 / PNA-FISH / バイオドシメトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線被ばく事故では被ばく線量から急性放射線症候群の重篤度や発症時期を予測する。適切に患者の振り分け(トリアージ)・治療方針決定・医療準備を行うには、患者候補者の被ばく線量を早期に推定することが急務となる。従来の生物線量評価法はいずれも48ないし72時間の細胞培養を要する。遺伝子発現を指標とした評価法は被ばく後の検体採取タイミングに左右される。本研究では培養時間が不要な「細胞融合で生じるpremature chromosome condensation (PCC)」に着目し、トリアージのための線量評価が、熟練なしに実施できる方法を確立する。 平成26年度は細胞融合によるPCC法に蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法を組み合わせることで、緊急時の大まかな線量評価に適した検査法を開発し、未成熟凝縮二動原体染色体分析法[prematurely condensed dicentric chromosome (PCDC) assay]と命名した。FISHで動原体とテロメアを識別する2種類のペプチド核酸(PNA)プローブを用いることにより、血液検体受け入れから5時間で染色体異常頻度を調べることが可能になった。DNA損傷の修復機構の影響をみるために、染色体断片と二動原体染色体の生成頻度について、ガンマ線4 Gy被ばく後の経時変化を調べたところ、染色体断片は被ばく後急激に減少した後に安定し、二動原体染色体は1個/細胞で推移した。さらに、観察細胞数がわずか50個であっても、染色体断片と二動原体染色体の頻度と線量の間には、それぞれ一定の直線関係と線形二次曲線関係がみられ、二動原体染色体頻度はポワソン分布をとることが明らかになった。事故時の血液検体入手までの時間のことも考慮すると、PCDC法は緊急被ばく医療における線量推定に実際に有望であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進み、投稿論文が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き計画に従い研究を進める。
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Causes of Carryover |
国際標準化機構分科会(モスクワ)出席の旅費について、ロシアの紛争が終息せず多くの研究者が渡航を控えるよう国の指導を受け参集しなかったので、渡航を中止し未使用となったこと、所外の採血ボランティアの募集を中止したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費、研究材料費、旅費(国内学会参加)に使用する。
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Remarks |
The Supplementary Technical Note and PCC images ahave been uploaded.
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Research Products
(2 results)