2015 Fiscal Year Research-status Report
放射線被ばく事故における迅速なトリアージのための生物線量評価方法の開発
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26420879
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
數藤 由美子 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 被ばく線量評価研究プログラム, チームリーダー (70313202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穐山 美穂 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 被ばく線量評価研究プログラム, 技術員 (70415404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 未成熟染色体凝縮 / PCC / FISH法 / 生物学的線量評価 / トリアージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では未成熟染色体凝縮という現象を利用し、細胞培養不要で放射線被ばく事故時のトリアージに有用な線量評価法を確立することを目標としている。 前年度(研究計画1年目)には、細胞融合によるPCC法に動原体領域とテロメアを検出するためのFISH法を組み合わせた迅速な染色体分析法を確立した。動原体領域に対応するPNAプローブとテロメアに対応するPNAプローブにそれぞれ異なる蛍光標識をほどこし(一方を赤色、他方を緑色)用いる方法である。染色体異常のうち、不安定型染色体異常である二動原体染色体と染色体断片を指標に線量効果曲線を作成した。患者血液検体受け入れ後6時間で、50個のメタフェーズ観察によるトリアージ・レベルの線量評価が可能であることを示した。 今年度(2年目)においては、さらに3色FISH法およびM-FISH法を導入し、安定型染色体異常である染色体転座を指標とする方法を開発した。具体的には、3色FISH法とは直接蛍光標識したヒト染色体第1番(テキサスレッド、赤色)、第2番(FITC、緑色)、第4番(テキサスレッドとFITCとの混合、黄色)のペインティングプローブを同時に染色体標本DNAにハイブリダイズさせ、DAPI(青色)で染色する手法である。M-FISH法はすべての染色体を判別する手法で、3色FISH解析でスクリーニングした結果に基づき、より詳細に異常パターンを調べる手法である。今年度は3色FISH法により、通常の染色体標本における転座・二動原体染色体・染色体断片等の出現頻度のバックグラウンド値(照射線量0 Gy)と50 mGyから300 mGyまでの低線量域の線量効果曲線を確立した。この手法により、過去の被ばく線量を推定することが可能になる。本研究において、同手法およびM-FISH法はPCC標本についても適用できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画最初の2年間の内容の多くを1年目に終了させることができたので、国際標準化機構や国際原子力機関におけるバイオドシメトリー分野で今後メインとなっていく安定型染色体異常を指標とした線量評価を、本研究で開発を推し進めているPCC法においても適用させた。これにより将来の国際的な標準化の流れに合わせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(3年目、最終年度)は細胞融合の電気的導入法の評価と、個体差の検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度、国際情勢の悪化により、ロシアで開催の国際標準化機構におけるバイオドシメトリの会議に出席できなかったため、海外出張費が不要となかった。次年度国際会議および学会は日本国内で開催されたため、海外出張を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主としてあたらに必要となった実験解析補助員のための人件費とした。
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Research Products
(3 results)