2015 Fiscal Year Research-status Report
エクセルギー最大化を目指したハイブリッドソーラーコレクタに関する研究
Project/Area Number |
26420883
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
松尾 廣伸 静岡大学, 工学部, 助教 (70293610)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 太陽エネルギー / ハイブリッドソーラーコレクタ / 電熱併給 / ヒートポンプ / エクセルギー / 井水熱利用 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
既設の太陽光発電システムに後付することでハイブリッドソーラーコレクタ化を行う集熱部分の設計・試作・動作試験を昨年度に引き続き複数回行った。耐熱温度の向上に加え、PVパネルへの圧力負荷軽減と密着性の確保の両立を図るべく改良を重ね、ある程度のものを作成することができたが、基材として用いたポリカーボネイト板に熱応力によるひび割れが生じることが明らかとなり、提案方式を諦めてヒートパイプを用いた集熱システムへの移行を準備中である。 設置した240Wの太陽光発電パネル18枚(合計4.3kW)の内6枚を仮にビニールホースを裏面にトグロ状に設置したハイブリッドソーラーコレクタに改修し、発電および集熱実験を行い、日射量、直流電流・電圧特性交流発電電力の計測、パネル温度の計測を行い、各種パラメータの把握・検討を行った。その結果、短期的な結果としては、ヒートポンプによる採熱によりパネルの冷却が行えることが示されたものの、現時点では集熱器およびヒートポンプの性能の悪さから発電量の増加に対して消費電力の増加が上回り、効率的なシステムとしては機能していない。また、集熱効率は20-30%程度であった。 深井戸に設置した井水採熱管を用いて、放熱および採熱実験を行い、温度変化や採熱可能熱量の測定を行った。その結果、井水の温度は通年17℃程度でほとんど変化がないものの、6時間で57MJ程度採熱した場合には平均3.7℃低下し、採熱停止後48時間経過しても回復しきらないことが明らかとなった。採熱可能熱量は、本実験で用いたアルミ三層管接水距離22mでブライン流量6L/min,HP沸上温度55℃の際に5.1kWであった。 これらの計測データを基に、発電および集熱の基本的な動作のシミュレーショを作成した。現時点ではサブプログラムの精度が十分でなく、実機とのマッチングを行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
提案していた裏面後付の集熱パネルの構造が大規模化に適さず、ビニールホースを用いた集熱効率の低い方法で仮のシステムを構築し、実験を行っている。シミュレーションとの併用で最終的な目的は達せられる見込みであるものの、集熱パネルの構造を変えざるを得ない。変更後の構造としてはヒートパイプを用いるものとし、PVパネルにも負荷の掛かり難いものとする。また、連続的な実験の時間は短くなる。 また、シミュレーションにおいても、システム全体の構築は行ったものの、構成要素個々の問題点に未解決の点があり、より詳細な検討と修正を要する状態である。以上のことから、「(4)遅れている。」と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在設置しているハイブリッドソーラーヒートポンプシステムでの発電・採熱データの気象条件の変化による違いを測定すると共に各所の改良を行い効率の向上を目指す。具体的には、以下の点を想定している。1)ハイブリッドソーラーコレクタの集熱構造をヒートパイプを用いたものへと改良、2)搬送用ポンプの最適化、3)ヒートポンプ制御プログラムの改善、4)システム全体の制御プログラムの開発。その後、改良システムの種々パラメータの測定を行う。 一方、本システムのシミュレーションプログラムを作成し、実測結果と比較検討を行い、再現性のあるものに仕上げると共に、ハイブリッドソーラーコレクタやヒートポンプを変えた場合の発電・集熱特性、設置面積、ハイブリッド化比率等を変えたときの取得エネルギー量やエクセルギー量の評価を行い、効率的なシステム構成を求める。
|
Research Products
(6 results)