2015 Fiscal Year Research-status Report
高性能な金属空気二次電池用空気極のための触媒担持導電性酸化物の精密合成
Project/Area Number |
26420885
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
湯浅 雅賀 近畿大学, 工学部, 講師 (50404075)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 金属空気電池 / ナノ材料 / 酸素発生反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属空気電池は、空気中の酸素を正極活物質とするため、高いエネルギー密度が期待できる電池である。電池に空気を取り込むためには、多孔性に富んだ空気極が用いられ、その材料として現在は、カーボンに触媒を担持した材料が用いられている。しかし、現行の空気極は、充電によるアノード電流でカーボンが分解するために、電池の充電が困難であることが問題である。そこで本研究は、充電電流に耐久性がある材料を用いて空気極を構築し、金属空気電池を充電可能とすることを目指した。 昨年度においては、溶融塩中で酸化チタンと水酸化ニオブの混合物を処理することで、比表面積48m2/gのNb-TiO2ナノロッドを合成することに成功し、この材料がアノード酸化に耐性があることを見出した。しかし、合成したNb-TiO2は比表面積が小さいため充分に良好な酸素還元(放電)および酸素発生(充電)の反応活性を得ることができなかった。 そこで本年度は、シート状炭素ナノ材料であるグラフェンを空気電池の電極材料として着目した。市販のグラファイトを溶液中で酸化して酸化グラファイトを合成し、これを超音波処理により層を剥離させることで、酸化グラフェンを得た。この酸化グラフェンを熱水中で加熱することで、比表面積 450m2/gのグラフェンを合成することができた。このグラフェンを空気極の材料として使用したところ、300mA/cm2という非常に大きな充電電流によってもグラフェンは分解しなかったため、グラフェンは充電可能な金属空気電池の電極材料として非常に有望であることが明らかとなった。さらに、グラフェンに担持する触媒について検討した。その結果、グラフェン上での充電反応に関しては、これまで充電反応に対して高活性であることが知られていたLaNiO3よりも、NiとFeで形成される層状水酸化物(Ni-Fe LDH)が有効であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はNb-TiO2を電極材料として検討していく予定であった。しかし、本年度の研究においてグラフェンが充電反応(酸素発生反応)に対する耐性を有していることを見出した。このグラフェンは、Nb-TiO2よりも高い電子導電性と比表面積を有しており、電池の材料として非常に優れている。したがって、本年度における、グラフェンのに関する発見は、本研究目的を達成する上での大きな前進であり、当初の計画以上の進展であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初は、2年目以降はNb-TiO2ナノロッドに触媒を有効に担持する方法について検討する予定であったが、グラフェンがより良い材料であることが明らかとなったため、グラフェンに有効に触媒を担持する方法について検討する。また、グラフェンは、その炭素骨格中に窒素、リン、硫黄等の異種元素をドープすることが可能であり、ドープによって放電および充電特性が向上する可能性があるため、異種元素のドープについても検討を進める。
|