2015 Fiscal Year Research-status Report
資源豊富な元素を用いた次世代型CZTSSe薄膜太陽電池の作製に関する研究
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26420888
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
山口 利幸 和歌山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60191235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薄膜太陽電池 / 化合物薄膜 / 連続成膜法 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギーへの期待が一層高まり、安全・安心な太陽光発電が注目されている。本研究では、稀少元素のInやGaを含まず、資源上の制約が少なく、原材料費が安価であるという利点を持っている、次世代型のCu2ZnSn(S,Se)4薄膜太陽電池の高性能化を目指して、成膜技術を検討することを目的とする。 実験Iでは、Cu2ZnSnSe4化合物を用いて、Se/Sn/(CZTSe+Na2Se)/Znに積層したプリカーサをS+Se雰囲気中で熱処理してCu2ZnSn(S,Se)4薄膜を作製した。熱処理時のS/(S+Se)=0.4一定で、S+Sの総仕込み量を変化させた。その結果、薄膜中のS/(S+Se)比を0.43~0.87まで制御できた。総仕込み量比0.25のサンプルで、開放電圧494[mV]、短絡電流8.06[mA/cm2]、変換効率1.08[%]の太陽電池特性が得られた。 実験IIでは、連続成膜法を用いてCu2ZnSn(S,Se)4薄膜を作製した。蒸着時のS量を増やすと、薄膜中のS量が増加し、薄膜中のS/(S+Se)比を制御できた。薄膜中のS/(S+Se)=0.45の時に、開放電圧244[mV]、短絡電流16.4[mA/cm2]、変換効率1.55[%]の太陽電池特性が得られ、昨年度の記録を更新した。 実験IIIでは、連続成膜法を用いて、S量=0のCu2ZnSnSe4薄膜を作製した。NaF添加の影響について検討した結果、NaF添加により結晶性が改善され、NaF/CZTSe=6.7[%]のサンプルで開放電圧274[mV], 短絡電流33.3[mA/cm2], 変換効率3.93[%]の本研究における最高効率が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、稀少元素のInやGaを含まず、資源上の制約が少なく、原材料費が安価であるという利点を持っている、次世代型のCu2ZnSn(S,Se)4薄膜太陽電池の高性能化を目指して、成膜技術を検討することを目的として実施している。3年計画の2年目である今年度の検討の結果、初年度より太陽電池の特性が向上し、より適正な成膜技術を見出しつつある。さらに、本研究で提案している連続成膜法という一工程で目的の薄膜を作製する技術の有用性が示されてきており、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、本研究の独自技術である連続成膜法を用いて、Cu2ZnSn(S,Se)4薄膜太陽電池の性能向上を目指して、作製条件を検討する。連続成膜法は一工程で目的の薄膜を作製できることから、工業生産に適した成膜技術である。今までの検討の結果、太陽電池の性能向上のためには、薄膜の結晶性及びヘテロ界面を改善することが重要であると考えられる。前者の改善のため、連続成膜時の基板と加熱ヒーターの配置を見直し、より効果的な加熱方式を検討する。後者の改善のためには、バッファ層/活性層のヘテロ界面のシャントパスを軽減することが重要であることから、薄膜の表面処理を検討する。さらに、上記の検討結果を踏まえ、問題点を分析し、太陽電池の更なる特性向上を図る。
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Research Products
(13 results)