2014 Fiscal Year Research-status Report
環境に適応した運動出力を生み出す神経回路機構の解明
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26430004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高坂 洋史 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (20431900)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経回路 / 運動制御 / 介在神経細胞 / コネクトミクス / オプトジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の項目に従って記述する。 1.運動速度制御を担う新規介在神経細胞の同定 これまでに、運動速度制御を担う介在神経細胞として、PMSIを同定した。PMSIの神経活動を阻害すると運動速度が低下することから、PMSIの上流の介在神経細胞が運動速度制御を担っている可能性が高い。そこで、PMSIの上流の神経細胞の同定を進めた。Janelia Farm 研究所のAlbert Cardona 博士との共同研究で、ショウジョウバエ幼虫の神経系の連続切片電子顕微鏡像の3次元再構築データを用いて、PMSI との間にシナプスを形成している神経細胞の探索を行なった。その結果、数十の候補介在神経細胞を同定した。続いて、同研究所のJames Truman 博士との共同研究により、候補介在神経細胞でのみ特異的に発現するGal4系統の探索を進めたところ、このうち、30の候補介在神経細胞について、そのような特異的Gal4系統が、作成済もしくは、作成可能であることが分かった。一方、細胞接着分子をコードする遺伝子の発現制御システムを利用して作成されたGal4系統を探索したところ、少数の神経細胞で発現する系統が複数得られた。以上の2つのスクリーニングにより、運動回路を構成する候補神経細胞を特異的にマークするGal4系統の同定に成功した。 2.適応的運動速度制御の回路機構の解明 幼虫の運動パターンを精密に定量化するために、幼虫の各体節に限局して発現するGal4系統を見出し、GFPを発現させ自由行動中の個体の蛍光を経時的に測定することにより、幼虫個体の運動のみならず、各体節の運動ダイナミクスを抽出する系を構築した。その結果、運動パターンを表現するいくつかのパラメータについて、画像解析に基づく半自動的定量化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「1.運動速度制御を担う新規介在神経細胞の同定」に関して、当初予定していたGal4系統の同定が順調にすすみ、数十の候補系統を得られた。次年度に行なう各介在神経細胞の機能解析に必要な準備が整った。 「2.適応的運動速度制御の回路機構の解明」に関して、運動出力をより精密に測定する手法を確立でき、適応的運動変化の測定の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
「1.運動速度制御を担う新規介在神経細胞の同定」に関して、予定通り候補系統を用いて、介在神経細胞の機能解析を進め、速度制御を担う回路機構の解明を進める。 「2.適応的運動速度制御の回路機構の解明」に関して、確立した計測手法を、各温度条件、及び各栄養条件に適用し、当初の計画通り、運動速度の適応的変化の定量化を進める。
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Research Products
(12 results)