2016 Fiscal Year Research-status Report
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26430016
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
倉橋 隆 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90225251)
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2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 嗅細胞 / イオンチャネル / ナノバイオロジー / 電気生理学 / 飲食品 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
匂いは無意識下で生体に多大な影響を与える。匂い受容の第一段階は、嗅上皮内にある嗅細胞にで匂い物質が接触することで始まる。匂いを感じる受容機構を備えている嗅細胞線毛を実験モデルとして用いて、匂い受容システムや情報変換過程における分子機構を詳細に調査し、分子基礎レベルでメカニズム解明を試み、実験目的とした。嗅細胞線毛は外界から飛来する匂い物質が始めて生体にコンタクトする場である。この線毛上には情報変換チャネル（CNGチャネル・Cl(Ca)チャネル）が他の部分と比較して局所的に高密度に発現している。それにより化学-電気信号変換が高効率で行われるシステムを有する。研究ターゲットの1つである嗅覚マスキングは、各種様々な化学物質によって、これらの情報変換チャネルの抑制により、引き起こされることは既に過去の研究成果で示した。特に、情報変換チャネルの中でもCNGチャネルが阻害されることで、嗅覚が顕著に低下する。飲食品にとって、匂いは重要であり、味とは異なった風味とも評される。この風味が減弱することが、情報変換チャネルの中のCNGチャネルをターゲットとしていることを踏まえ、チャネル阻害をもたらす分子を自然界に存在する天然化合物・人工化合物など幅広い方面から探索し、検証する。試料採取や物質探索後は、細胞に適用し、実際のイオンチャネルの興奮・抑制を電気生理学的手法（パッチクランプ法）にて測定し、検討することで、ダイレクトなチャネル抑制を確認することが可能である。本研究により、基礎研究分野のみならず、産業界においても有用なデータが得られることから、社会的な意義も深い。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究目的として以下を掲げた。１．CNGチャネルを阻害する物質探索 ２．阻害効果に対する機構解明 ３．抑制分子の設計、である。自然界に存在している匂いは一般的に、市販している薬品（多くは単一物質）ではなく、各種の匂いが混在している。そのため、飲食品のみならず、その生産過程や流通過程から得られる匂いに関しても、特定の化学物質によるCNGチャネル抑制が引き起こされていると考えられるデータを取得した。１．ではチャネルを阻害する物質として過去にその機能が明らかとなったTCAと同程度の抑制物質を発見した。自然界に存在する天然物質の効果を検証している。２．では抑制分子と細胞膜やチャネルとの親和性等に着目し、研究を進めた。３．は抑制分子の持つ特徴的な化学構造が得られたことから、その構造を基盤とし、更なる抑制物質のアーキテクチャーを推測している。これらの結果に関しては、現在論文を作成中である。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度の直前に、研究室のキャンパス移動を余儀なくされ、移動のため、実験セットアップは全て解体されている。そこで、最終年度は、再びセットアップを構築する必要がある。また、以前からの継続であるCNGチャネル阻害を引き起こす自然界に存在する天然物質、人工合成物質二関しても、更に多くを収集し、分子特性と細胞に対する効果の検証を引き続き行う。現在得られている結果から、一般試薬よりも強い抑制能を持つものが複数存在するため、化学物質の性質からの創薬を視野にいれる。そのために必要な物品・器具・電子部品などを購入し、アッセイを行う方針である。
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| Causes of Carryover |
本年度になり、急遽研究室移設をせざるをなくなったため、本研究で使用する実験試料の探索、化合物の検証などに使用する頻度が減少したため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度には、移設によりいったん解体したセットアップの再構築、実験試料の探索、検証を集中的に行うことが予想され、前年度以上に物品購入、関連する支出が増加すると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Book] Topics in Medical Chemistry, Taste and Small2017
Author(s)
Takashi Kurahashi, Hiroko Takeuchi, Maik Behrens, Simone Prandi, Wolfgang Meyerhof, Joshua Fletcher, Li Pan, Douglas Kinghon, Brett Boonen, Justyna Startek, Karel Talavera, Patrick Marcinek, Christiane Geithe, Stefano Espinoza, Raul Gainetdinov, Dietmar Krautwurst (Ed)
Total Pages
199
Publisher
Springer
